結果をちゃんと出す人とデキない人の決定的な差 真実を見抜き、相手の心をとらえる目の付け所
そして、自分がどんなに疲れていても、相手が嫌な思いをしないような、配慮と根気がいる。声はあまり美しい必要はない。丁寧な言葉で、誠実に応対していればよい。スーツも高級品ではない。大衆向けの建売住宅を買う人が「この人、私の気持ち、金銭感覚がわかっている」と感じる雰囲気が求められる。
この手の営業マンにはイケメン・美人は多くない。庶民が「親近感を感じられる人」でなくてはならない。
相手の「見た目情報」から戦略を立てる
そして、最も大事なことが最後になるが、「よく売る人」はお客を見る目、鑑定眼がよいのである。相手がどんな人柄で、どんな話し方を好み、どんな話題で打ち解けるか——。相手の「見た目情報」から、どんな人かを時間をかけて、じっくりと鑑定しているのである。
洋品店の販売員の場合は、その鑑定を数秒でやらなくてはならない。
この人は冷やかしか。冷やかしなら、放っておこう。あまり長くいられると他の客の迷惑だから、さりげなくお引き取り願おう。この人はどんな色、柄、価格帯のものを探しているのか。どんなタイミングで試着室に誘えばよいか。
客の好みをまず出すばかりが能ではない。好みでなさそうなものを先に見せ、相手がどんな拒否反応を示すかをチェックする。少しずつ外堀を埋めていき、最後に「本命」を見せた時には「勝負」は終わっているという売り方もある。
もちろん、同じ商品であっても、人それぞれ売り方は異なる。最初は先輩の見よう見まねで身に付けていくが、最後は自分流をどう拵えるか、である。
とはいえ「よく売る人」は、相手を見抜く目を持っている。「受信力」に磨きをかけた結果だろう。あなたは、自分の「受信力」に自信があるだろうか。
“小さな違和感”に気づけるか
随分昔だが、マルチ商法の詐欺の現場を取材したことがある。週刊誌の記者をやっていた時代である。
私は、客になりすまして会場に入ったので、「何が変なのか」に気づく立場にあったとは言える。だが、そうでなくとも、平らかな心で会場全体を見渡せば“小さな違和感”が膨大にあることがわかったと思う。
学校の教室程度の会場には、満員(50人程度)の参加者が座っていた。だがまず、その商品がねずみ講のような形で売れるとは思えないほど、商品力がなかった。だから、50人も集まっていることがそもそも変なのである。普通に商売をやったことのある人なら、そんなに人が集まるはずがないと感じるだろう。もちろん、45人程度はサクラである。
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