ドーム"伝統の一戦"を快適に過ごす裏ワザ 12球団のホームグラウンドへ行ってみた<8>
情けなくも途中でギブアップしたが、やり残した宿題は多い。トイレのカウント、チアの9回以降のパフォーマンス、スコアボードの表示コンテンツなどのチェックが終わっていないし、ヘルメットアイスも買わねばならない。だが、巨人戦のチケットは高い。そもそもすぐ売り切れてしまうのでそう簡単に買えない。そこで立ち見席を買って入ることを思いついた。
プロ野球の記事を書くのに、巨人、阪神戦を体験していないというのも何やらよろしくないという気になり、無謀にも最も人が多いであろう阪神戦を観戦することにした。実際、当日、球場に着いてみると、人出は想像を絶するものがあった。ゲーム開始2時間前だというのに、もうコンコースは朝の埼京線新宿駅状態だ。
絶大な効果、「ウル虎の夏」ジャージ
ラッシュアワーの電車には戦闘モードに心のスイッチを切り替えないと乗れない。それと同じで、この球場でコンコースを歩くには戦闘モードへの切り替えが必要だ。背中をど突かれたりかかとをふまれたり、無理矢理追い越そうとされたり。ところが、甲子園でもらった「ウル虎の夏」ジャージを着て歩き始めたとたん、これが一切なくなった。
その効果に驚きながらも、勝手に自己分析してみる。巨人ファンには阪神ファンとの無用なトラブルを避けたい心理が働く。阪神ファンには仲間意識が芽生える。故にどちらからもヒドイ目に遭わないで済むのではないか、と。
ゲームが始まる前まではコンコースは大混雑だったが、ゲームが始まれば空く。一気にトイレカウントを済ませ(と言ってもとにかく広いのでへとへとになったが)、1階コンコースへ。ここはモニターが何台もあり、モニター観戦に恰好の階段もある。
そこに座って6回裏終了を待ち、7回からは阪神ファンがいる3塁側外野立ち見席へ移動。巨人は阪神戦の時だけは外野レフト側のセンター寄りの席を、阪神ファンに開放する。この日はレフトスタンドを阪神ファンが埋め尽くしていた。
立ち見席は意外なほど秩序立っていて、立ち位置の奪い合いや口論は一切なく、観客はひたすらふがいない阪神の選手にヤジを飛ばしている。
阪神ファンの期待もむなしく、ゲームは巨人の勝利。勝ったのでゲーム終了後チームヴィーナスはもうひと仕事した。
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