JALとANAを分析する

収益力に大きな差がついた、航空大手2社

売上げ増に伴って、売上原価は7.5%増の3220億円。営業総利益は24.7%増の647億円となりました。

販管費は11.9%増の644億円。営業利益は、前年同期は56億円の赤字だったのが、この期は3億円の黒字となりました。売上原価率(売上原価÷売上高)を計算すると、85.2%から83.2%まで下がっていますから、コストコントロールが強化され収益力が少し高まったことが分かります。

ただ、JALと比較しますと、収益力に大きな差があるのです。JALは、営業収益3070億円に対し、営業利益は186億円。売上高営業利益率(営業利益÷売上高)は6.1%です。一方、ANAは売上高3868億円に対し、営業利益は3億円ですから、売上高営業利益率は0.1%程度しかありません。

「有償座席利用率」にも大きな差

なぜ、2社の間で差が開いているのでしょうか。売上原価率を比較しますと、JALは80.0%、ANAは83.2%。売上高が数千億円ありますから、わずか3.2%の違いでも大きな差が出てしまうのです。

次に、販管費率(販管費÷売上高)を計算しますと、JALは14.0%、ANAは16.7%。こちらも、JALの方が低くなっています。

以上のことから、売上原価、販管費ともに、JALの方がANAよりも抑えていることが分かります。この点は、先に述べたJALの税の優遇や有利子負債の削減とは関係のない点です。

この大きな要因の一つとして、「有償座席利用率」の違いがあります。有償座席利用率とは、航空機の総座席数に対する有償旅客数の割合です。

JALの有償座席利用率は、国内線は62.4%、国際線は73.3%。ANAは、国内線は59.2%、国際線は69.0%。いずれもJALの方が高くなっていますね。航空事業は、「空気を運ぶより、安くても人を乗せろ」と言われていますが、有償座席利用率が数%高いだけでも、利益が大きく違ってくるのです。

次ページANAに不利な状況が続く
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