JALとANAを分析する 収益力に大きな差がついた、航空大手2社

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問題はここからです。スカイマークが購入しようとした6機のうち、2機はすでに完成しています。残り4機のうち2機は仕掛品になっています。造りかけですから、当然、売ることはできません。しかもA380は、リース市場でも需要がほとんどない不人気機種ですから、完成品でも売る先がなかなか見つからないのです。

JALかANAにスカイマークを「抱えさせる」?

スカイマークの平成26年3月期の財務諸表を見ますと、売上高は860億円、資産合計は787億円しかありません。この状況で、1機あたり300億円近くする機体を何機も買うには、資産規模も売り上げも、小さすぎます。最大700億円の違約金を支払うことも、非常に難しいのです。

しかし、エアバスは欧州を代表する企業ですから、政府としてはEUとの関係を考えると、スカイマークを破綻させて未払金や違約金を踏み倒すことは避けたいと考えています。

そこでどうするか。一つの可能性として、JALかANAに、スカイマークを抱え込ませるという手段が考えられるのです。

スカイマークを傘下に入れれば、航空会社が喉から手が出るほど欲しい羽田空港の発着枠を得ることができます。ただ、JALもANAも、A380という大きな荷物は抱えたくありません。

なぜかといいますと、新しい航空機を導入すると、莫大なコストがかかるからです。例えば、パイロットは航空機ごとにライセンスを持たなければなりませんから、新たに育成が必要です。整備も部品も、機種ごとに全て異なります。A380は大型の航空機ですから、巨大な格納庫も必要です。

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