何が"新興エアライン"の明暗を分けたのか 混迷のスカイマークと苦境脱出のスターフライヤー

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業績低迷にA380の解約騒動が重なり、スカイマークは創業以来最大の苦境に陥っている(撮影:尾形文繁)

スカイマークとスターフライヤー。1990年代後半の規制緩和をきっかけに生まれた“新興エアライン”の明暗が分かれようとしている。

両社は前2013年度、そろって大幅な赤字に転落した。本業の儲けを示す営業損益は、スカイマークが25億円の赤字、スターフライヤーが30億円の赤字。LCC(格安航空会社)の台頭によって競争が激化する中、急速な円安進行によって燃油費が増大したことなどが追い打ちをかけた。

こうした流れを受けた2014年度第1四半期(4~6月期)も、両社は営業赤字が続いた。ただし、その内実は違ってきている。スカイマークは55億円の赤字となり、前年同期(24億円の赤字)に比べて赤字幅が拡大。一方、スターフライヤーは4億円の赤字となったものの、前年同期(11億円の赤字)からは改善した。

継続前提をめぐる明暗

違いが生じたのは、業績面だけではない。スカイマークの第1四半期決算短信には「継続企業の前提に関する注記」(疑義注記)が新たに記載されたのに対し、スターフライヤーは前年度の決算短信にあった「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載を、今第1四半期で解消した。

決算短信は、企業が将来にわたって無期限に事業を継続することを前提に作成されている。その前提(ゴーイングコンサーン)が崩れかねない場合、たとえば業績悪化で資金繰りが厳しくなってきたり、今後の営業に重大な支障が出かねない状態にあったりすると、企業は決算短信や有価証券報告書に疑義注記や重要事象を記載しなければならない。

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