何が"新興エアライン"の明暗を分けたのか 混迷のスカイマークと苦境脱出のスターフライヤー
重要事象よりも疑義注記のほうがより深刻な状況にあるが、突き詰めると、どちらも当該企業が経営面で苦境にあることを意味している。つまり、同じ営業赤字でありながら、新たに疑義注記を記載したスカイマークは苦境が一段と深まっているのに対し、重要事象の記載を解消したスターフライヤーは苦境から脱しつつあることを示している。
共通する苦戦の原因
実は、両社が苦境に陥った原因は共通している。積極的な事業拡大が裏目に出てしまったことだ。
スカイマークは、欧州の航空機メーカー、エアバス製の超大型機「A380」の購入解約をめぐり、創業以来最大ともいえる窮地に追い込まれている。
2014年内の国際線参入を狙って、6機合計で約1900億円、1機当たり300億円超の機材を導入しようとしたが、業績低迷によって資金繰りが悪化。4月には前払い金の支払いが滞り、エアバスから購入契約の解除を通告された。
スカイマークは交渉の継続を求めているようだが、エアバスが態度を変えなければ、支払い済みの265億円が戻ってくる可能性は低い。それどころか、数百億円規模の違約金支払いを求める損害賠償訴訟を起こされる可能性すらある。
疑義注記の解消を目指して、スカイマークは広めの座席で差別化した「A330」導入による輸送力の強化や不採算路線の休止、金融機関からの借り入れなどの策を講じている。ただし、6月末時点の現預金は72億円にとどまる。運転資金をショートさせずにキャッシュを回していかねばならない緊張状態にある。
一方、スターフライヤーもほんの数カ月前まで、重要事象を記載する抜き差しならない状況にあった。同社は北九州を地盤に、革張りシートや広めの座席間隔などサービス重視の戦略で生き残りを図ってきた。が、国際線(北九州―韓国・釜山線)への進出や羽田―福岡線の大幅増便といった、身の丈に合わない拡大路線が裏目に出て、業績は急速に悪化した。