岸田文雄政権は、政権発足後初めての当初予算となる、2022年度予算政府案を12月24日に閣議決定する方向で最終調整に入っている。第2次岸田内閣は、11月19日に過去最大規模の財政支出55.7兆円を盛り込んだ「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を閣議決定した後、矢継ぎ早にこれまた過去最大規模の約36兆円に上る2021年度補正予算政府案を11月26日に閣議決定して、12月6日に召集された臨時国会に提出した。
この年末にかけての予算編成過程において岸田首相は、12月3日の経済財政諮問会議で、2022年度予算は「16カ月予算」の考え方で、経済対策の裏付けとなる2021年度補正予算と一体として編成する方針を明言している。
では、2022年度予算案は、どんな内容となるのだろうか。その姿から、岸田政権の今後の財政運営の行方を占うことができる。
予算規模のカラクリを把握しよう
ポイントとしては3つある。第1のポイントは、予算規模である。当初予算として、過去最大規模だったのは2021年度の106.6兆円である。2022年度予算案は、これを上回る規模になるか否かが焦点となる。
見かけだけ過去最大にするのは簡単だ。2020年度以来コロナ禍で多用している巨額の予備費を積めばできる。肝心なところは、当初予算の中で、こうした時限的な予算と恒久的な予算の規模がどうなるかである。
東洋経済オンラインの拙稿「コロナ禍予算、歳出増回避した『2つのからくり』 当初予算案は過去最大でも実質増はわずかに」で明らかにしたように、過去最大規模となった2021年度当初予算では、新型コロナウイルス対策予備費を5兆円計上しているから、時限的な予算を除くと実質的には101.6兆円だった。これは、その前年度の2020年度当初予算で時限的な予算を除いた100.9兆円からわずか7300億円しか増えていないのである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら