今月にも開会される通常国会では、2022年度予算政府案が審議される。2022年度予算案では、一般会計歳出総額が107.6兆円と、当初予算案として過去最大規模となっている。そのうち、社会保障関係費が36.3兆円と33.7%を占めて、全費目の中で最大となっている。
社会保障関係費の中で最も多いのが、年金給付費(12.8兆円)である。これは、年金給付のすべてではなく、基礎年金給付の2分の1を賄う国庫負担に相当する。
2022年度予算案を決めるためには、2022年度にいくら年金給付をするかも同時に決めておかなければならない。そうしなければ、予算が組めないからである。実際に個々人が受け取る年金額は毎年見直されているが、前年度に比べてどれだけ変化するかを示すのが年金額改定率である。
2022年度の年金額改定率はマイナス0.4%
年金額改定率は、あらかじめ定められたルールに基づいて決める。それに基づいて決まった2022年度の年金額改定率は、マイナス0.4%となった。つまり、2022年度の年金額は、2021年度よりも0.4%減るということである。
ただし、厳密に言うと、マイナス0.4%というのは、予算政府案が閣議決定された2021年12月時点での物価上昇率の推計を基にした予算積算上の値であり、今月公表される2021年平均の全国消費者物価指数の上昇率に基づいて実際の年金額改定率は確定する。
では、このマイナス0.4%は、どのようなルールに従って決まったものなのか。それは、次のとおりである。まず、年金額改定率は、原則として、名目手取り賃金変動率とマクロ経済スライド調整率の和で決まる。
名目手取り賃金変動率が、年金額改定率に反映されるのは、年金の給付水準は現役世代の名目手取り賃金の水準との比率(所得代替率)を見極めながら制度が運営されていることに基づいている。さらには、年金保険料を払う現役世代の手取り賃金が減っているのに、年金の給付水準は減らなかったり、むしろ増えたりすれば、現役世代へのしわ寄せが大きくなるという関係も見逃せない。
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