年金は、本当に「100年安心」なのか 【新連載】5年に1度の「年金の大イベント」が始まった

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5年に1度の年金の「財政検証」が始まった。今後、楽観的な年金財政の見通しが示される可能性もありそうだ。だが、支給開始年齢の引き上げなど、年金をめぐる多くの課題から目をそらしてはいけない(AP/アフロ)

5年に1度行われる「年金の財政検証」とは?

今年は、5年に1度、年金の財政検証が行われる年である。高齢化がさらに進むわが国において、年金のあり方が、今後のわが国の財政運営を大きく左右することは言うまでもない。年金の財政検証とは、わが国の公的年金のおおむね100年間にわたる収支見通しを作成し、年金財政の健全性を検証するものである。要するに、わが国の公的年金が「100年安心」かどうかを検証することである。

3月6日に、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会年金部会の下に置かれる、「年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会」が開催された。そこでは、今年行う年金の財政検証に用いる、「経済前提のあり方」が示された。

「経済前提」は、今年示される検証結果を左右する重要な内容である。もし、置く前提が楽観的ならば、年金保険料も増やさず年金給付も減らさなくとも、いとも簡単にわが国の公的年金が「100年安心」と言えてしまう。しかし、信憑性のない前提を置いて試算を示しても、国民の年金不信が払拭されるはずはない。検証結果を示すのはこれからだが、その前段階となる、「経済前提の置き方」が焦点となる。

ここでいう経済前提とは、経済成長率、物価上昇率、賃金上昇率や金利といった経済指標の動きを左右する外生的な要因のことで、全要素生産性(TFP)上昇率(いわば技術進歩率)や資本分配率(その表裏の関係で労働分配率)などである。経済成長率や金利そのものを仮定するわけではない。

次ページ前提条件をどう置くかで、見通しは左右される
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