財政出動しても景気がよくならない根本的な理由 近づく選挙、バラマキ政策の乗数効果は小さい

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記者会見で衆院選公約を発表する自民党の高市早苗政調会長。与野党の公約には特別給付金などのバラマキ政策が並んでいる(写真・時事通信)

衆院選に向けて、与野党から財政出動の提案が続々と出ている。特別給付金の支給や需要を喚起する投資など、財政出動して景気をよくしたいらしい。

そもそも、それを実現するには「乗数効果」が大きいことが前提だ。

乗数効果とは何か

財政支出の乗数効果とは、財政支出の追加的な増加に伴い、GDP(国内総生産)が追加的に増える効果である。財政支出を追加的に1兆円増やしたときに、GDPが追加的に3兆円増えれば、財政支出の乗数は3となる。

乗数効果が大きければ大きいほど、財政支出を増やせば、それだけ大きくGDPは増える。

乗数効果の背景には、次のような人々の経済活動が想定されている。

政府が財政支出を行うと、その政府が発した注文を受ける民間企業などの仕事が増えて、その分GDPが増える。公共事業などは典型的で、政府が公共事業を発注すると民間企業がその工事を受けることで、GDPがその分増える。

この効果はさらに続く。財政支出を受け取った受注企業は、従業員へ働きに応じて給料などで分配することになる。分配を受けた従業員は所得が増える。そして、その従業員が今度は消費者としてモノやサービスを買えば、それだけ民間消費が増えて、その分GDPが増える。

さらに、そこでモノやサービスを売った企業の従業員の所得が増えるので、その人たちが消費者としてものを買えば、それだけ民間消費は増えて、その分GDPが増える。

こうした経済活動が循環して、際限なく繰り返されることで、最初に出した財政支出の金額を超えるほどにGDPが増える。これが乗数効果のメカニズムとされる。

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