所得税の控除はなぜこうもフェアでないのか 世代の違い、収入の違いで、生まれる税金の差

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所得税改革に本気で取り組まなければ、税の不公平感はいつまでも残る(写真:Neo / PIXTA)

年末にかけての季節、来年以降の税制改革の議論が活発に行われる。わが国において、「所得税改革」はまだ終わっていない。昨年末に、所得税制のうち「配偶者控除の見直し」がまとまり、2018年から実施されることとなった。その経緯は、本連載の「配偶者控除見直し『3つの案』はどれが有力か」にまとめたとおり。だが結局、従来の控除(所得控除)のまま、適用者を中所得者層に広げつつ、控除の適用に所得制限をつけたものにとどまり、当初目指していた、女性の働き方に左右されない公平な税制への転換にはほど遠い内容に終わった。

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そもそも日本の所得税は、なぜ改革しなければならないか。これには、所得格差是正がうまくできない仕組みになっていることと、働き方が多様化しているのに従来型の働き方(長期雇用の正社員)で稼いだ所得に有利な税制になっていることがある。ほかにもいくつかの理由が挙げられるが、これらは早急に改めなければならないポイントだ。

しかし、所得税改革を着手すると口を開けば、「増税するのか」と疑心暗鬼が広まる。ここで気をつけたいのは、増税が必要だから所得税改革に着手するのではない、ということ。これを政治家が恐れてか、所得税の抜本的な改革に踏み切ることを避け続けてきた。その結果、所得税制で所得格差を是正する機能(所得再分配機能)が弱まり、旧態依然の仕組みが放置され、新しい働き方には控除が適用できないなどのひずみが現れて、今日に至っている。このひずみを改めることが所得税改革の主眼といえる。

同じ収入でも給与と年金で違う控除

さて、昨年は配偶者控除の見直しが議論され、一応の決着をみた。配偶者控除とは、納税者本人に与えられる基礎控除や、扶養家族に適用される扶養控除など、人的控除の一種である。昨年の税制改正論議では人的控除を議論したばかりで、2年連続で所得税制の人的控除を見直すと、従業員の給与から所得税を源泉徴収している企業に、税を天引きした給与計算などで混乱を与えることも懸念されるようだ。そうしたこともあり、人的控除の本格的な見直しは、どうやら1回休みの様相である。

だから、今年の税制改正論議では、所得税はひとまずお休みなのか。そうではない。所得税改革は人的控除だけが改革点ではない。ほかにも改めるべき仕組みが残っている。では、次の焦点は何かといえば、「給与所得控除」「公的年金等控除」だ。

まず、給与所得控除と公的年金等控除が所得税制でどのような位置づけになっているか、説明しよう。

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