固定資産税に翻弄される人たちの悲痛な叫び

時代に合わなくなっているのに変わらない

自治体の貴重な収入源になっていることが問題を複雑にしている(写真:makaron* / PIXTA)

5月は「マイホーム」という言葉が幻想であることを確認させられる。固定資産税という「市町村への家賃」を求められる月だからだ。すでに納税通知が来て、高額の負担に閉口している人も多いだろう。

住んでいればまだいい。少子高齢化で過疎化に拍車がかかる地方では、買い手も借り手もつかないのに、固定資産税のおかげで「マイナス」の土地や建物が増えている。朝日新聞経済部が紙面連載をベースにまとめ、筆者も執筆者の1人として名を連ねる『ルポ 税金地獄』で指摘している問題点の1つが、市町村税収の半分を占める不動産への課税だ。

子々孫々まで続く「死亡者課税」

ある日突然、地方の役場から、見たこともない土地の固定資産税を払うよう求められるケースがある。土地の持ち主が死亡し、登記を変えずに放置していると、その子孫係累にまで固定資産税の請求書が届くのだ。これを「死亡者課税」という。

2013年、大阪府の男性会社員(当時59歳)の元に、まったく身に覚えのない土地の固定資産税を支払うよう求める通知書が届いた。差出人は愛媛県内のある自治体で、横書きの納税通知書の宛名には、男性の名前の下に「(亡○○○○様分)」と、彼が生まれるより16年も前の1938(昭和13)年に亡くなった祖父の弟の名前が書いてある。

通知は、次のように始まっている。

「この通知書は、下記固定資産の所有者として登記簿等に登録又は登記されている方がお亡くなりになっているため、相続人に対し、地方税法第364条の規定により課税内容及び課税明細をお知らせするものです」

要するに、祖父の弟の名義のまま放置されてきた土地の固定資産税を支払うよう求める通知である。

その土地は、祖父の弟が32歳の若さで亡くなった後、誰も相続していなかった。誰が相続したかをはっきりさせなくても、「放棄」の手続きを取らないかぎり、自治体は一方的に相続権のある者を探し出して課税してくる。

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