「相続税を払いすぎた人」が見逃していた知恵 親が元気なうちに「墓」と「家」を話しておこう
2015年1月に相続税が増税されてから、もうすぐ2年が経過しようとしています。「基礎控除(非課税枠)の縮小」と「税率の一部アップ」により課税対象が拡大し、支払う税金額も増えたことを受けて、公認会計士兼税理士である筆者の下への相続税に関する相談はこの2年間で着実に増えた印象があります。
基礎控除額は2014年までは「5000万円+(1000万円×法定相続人数)」でしたが、2015年からは「3000万円+(600万円×法定相続人数)」に変更されました。たとえば、父が亡くなって相続人が妻と子1人の場合、非課税枠は7000万円から4200万円に4割も縮小。遺産総額が5000万円の現金なら、2014年までは非課税でしたが、改正後は4000万円を超えると課税対象になっています。
筆者が受ける典型的な相談の1つは、30~50代の働き盛りの方のご両親がお亡くなりになられ、「相続税の申告をお願いしたいのですが、何から始めたらよいのでしょうか?」というケース。一方、両親が健在な方からも「今のうちからできる相続税対策を両親と話し合っておきたいのですが、良い知恵はないでしょうか?」と、アドバイスを求められることもあります。
3つの相続税対策
そこで今回は、いずれも両親が70代に差し掛かった松村伸夫さん(45)のケースをご紹介しましょう。
松村さんのご両親は20歳半ばで結婚、長男である伸夫さんと妹さん2人の子宝に恵まれました。60歳になる前には伸夫さんも妹さんも立派に自立し、定年前に家のローンも完済。退職後は2人で旅行に出掛けるなど穏やかな日々を過ごしています。そして、70代に差し掛かったのをきっかけに、お互いの体のことを考えて行った家のリフォームをきっかけに、「終活」について話すようになっています。
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