「相続税を払いすぎた人」が見逃していた知恵 親が元気なうちに「墓」と「家」を話しておこう

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そんな松村さんご一家に筆者は、3つの相続税対策をすすめました。まず松村さんのご両親に自分たちの入るお墓を自ら購入してもらうこと。また毎年、お父さんから伸夫さんと妹さんに少しずつ預金を贈与していってもらうこと。そしてお父さん名義となっている家をお母さんに贈与してもらうことです。

お墓は生前に購入したほうがいい

相続税について筆者の下に相談にいらっしゃる方の中には、「お墓を買うなら生前か死後のどちらがいいですか?」という質問は多く寄せられます。筆者は相続税対策を考えて、「生前に購入したほうがいい」とすすめます。

なぜかというと、相続税は残された財産に対して決められた税率が掛け合わされて計算されるためです。「生きている間にお墓を買う→おカネを払う→残された財産が減る→相続税も少なくなる」となるのです。

「あれ? お墓も土地や家と一緒で、財産になるのでは」と疑問が浮かぶ人もいるかもしれません。もちろんお墓も財産であることに変わりはありませんが、お墓は「相続税のかからない財産」。どれだけ立派で高価なお墓があっても、相続税はかからないので「財産が減る→相続税も少なくなる」という流れが成立します。

逆に、死後にお墓を購入すると「相続税を払い、さらにお墓を買うのにもおカネを払う」となります。それならば、生きている間にお墓を購入しておカネが減ったとしても、相続税は払わずにすむほうが相続税対策につながります。ただし、残された財産を減らすためには、未払いの状態ではなく「現金で支払い終えていること」が重要になります。

また、お墓に限らず、国税庁のHPでは「相続税がかからない財産」として、「墓地や墓石、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしている物」と記載されているので、これらも同じように考えていいでしょう。

親の死後にお墓参りをするのは、夫婦のどちらか残されたほうと子どもです。どこにお墓を構えるかということも含めて、今のうちから親と子どもが話し合っておくのは相続税対策以上に、親の終活にとって有意義なことです。

また、「年間110万円までの贈与には贈与税がかからない」という話があります。もちろん親が裕福なことが前提ですが、毎年、少しずつ子どもに贈与しておくことは、相続税対策として有効です。

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