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2022年度年金額マイナス改定の裏にある重要課題 マクロ経済スライドの給付調整が再び繰り越し

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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マクロ経済スライドとは、東洋経済オンラインの拙稿「新首相を待ち受ける『基礎年金問題』という難題 給付水準低下で高齢の生活保護受給者が増える」でも言及しているように、給付水準の世代間格差是正と年金財政の維持のために設けられた仕組みである。

少子化によって将来の年金保険料収入が減るが、それに合わせて将来の年金給付を減らすと給付水準の世代間格差が拡大する。それを防ぐためにも、今の高齢世代の給付水準を抑制することを意図している。

これを踏まえて、マクロ経済スライド調整率は、公的年金被保険者数の変動率と平均余命の伸び率を加味して決めることとなっている。2022年度のマクロ経済スライド調整率は、マイナス0.2%と算出されていた。

2022年度の年金額改定率に反映する名目手取り賃金変動率は、予算案の閣議決定時点では、マイナス0.4%と算出された。これらの和は、マイナス0.6%となる。

影響が大きい「名目下限措置」ルール

ところが、年金額改定率の算定ルールには、もう1つ別の条件が定められている。それは、マクロ経済スライドを発動する際には、マクロ経済スライド調整率を加えた最終的な年金額改定率はゼロ%を下限とするというものだ。名目下限措置とも呼ばれる。そして、名目手取り賃金変動率自体がマイナスの場合は、マクロ経済スライド調整自体を行わないというルールになっている。

2022年度については、この名目下限措置に該当する状況となり、これに従い年金額改定率は名目手取り賃金変動率と同率とすることとなったのである。つまり、マクロ経済スライドは発動しないこととしたのである。

結局、2022年度は、2021年度に続き2年連続で、マクロ経済スライドは、「抜かずの伝家の宝刀」となり下がったのである。

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