「年収850万円超の人は増税」がなぜ妥当か もし年収1000万円なら、増税額は4.5万円

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所得税改革が実現すれば、年収850万円超から増税となる(写真:KY / PIXTA)

注目された「所得税」の改革はどう決着するか――。

「所得税・個人住民税」の「控除」の見直しが、12月14日に与党決定される、平成30年度税制改正大綱に盛り込まれる方向となった。働き方の多様化を踏まえて、特定の働き方だけでなく、さまざまな形で働く人をあまねく応援し、働き方改革を後押しする観点から、今回の税制改正では、所得税制の中でも、次の4点に焦点を絞った見直しとなる模様である(以下、記述は本稿公開時現在の情報に基づく)。

(1)給与所得控除・公的年金等控除から、基礎控除へのシフト

(2)高所得者について、給与所得控除を引き下げ(子育て世帯、介護世帯に配慮)

(3)年金以外、特に高額の副収入がある者について、公的年金等控除を引き下げ

(4)特に高額の所得がある者について、基礎控除を逓減・消失

以下では、これらの見直しの影響とその背景について、みていこう。

手厚過ぎる、給与所得控除と公的年金等控除

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今回の所得税見直しのエッセンスは、「給与所得控除」・「公的年金等控除」(これらを総称して所得計算上の控除と呼ぶ)から「基礎控除」へと、控除額をシフトさせることである。ただ、それだけだと、配慮したい世帯にも増税の影響が及ぶので、そうならないように別途工夫した。

給与所得控除と公的年金等控除は、平成になってから制度の根幹はほぼ変わらず、政治的に”アンタッチャブル”だった。旧民主党政権下の2010年、高所得者の給与所得控除に上限を設けることを決めて2013年から実施され、2012年以降の自公政権でも、その上限をさらに引き下げた。ただ、給与所得控除の上限だけは変えられたが、それ以外の部分には手をつけられなかった。公的年金等控除のほうも、2005年に一部改正は行われたものの、根幹は変わっていない。

そうこうしているうちに、時代は変化して多様な働き方が拡大しているにもかかわらず、それに即した仕組みとは言い難く、働き方や収入の稼得方法によって控除額の計算が大きく異なる仕組みは、放置されたままだった。だから今回は給与所得控除と公的年金等控除の見直しに焦点を当てたのである。

これは大局的な背景ではあるが、税務当局の本音の一部でしかない。正面切って言えない本音の残る部分もある。それは、給与所得控除と公的年金等控除が”手厚過ぎる”、という認識である。

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