コロナ禍予算、歳出増回避した「2つのからくり」 当初予算案は過去最大でも実質増はわずかに

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緊急事態宣言再発令のニュースを伝える街頭の大型テレビ(写真:ロイター/アフロ)

政府は1月7日、首都圏の1都3県を対象に緊急事態宣言を再び発令することを決めた。期間は2月7日までの1カ月間としている。

今回は多くの業種に休業要請を出すことはせず、飲食店を中心とした営業時間短縮の要請にとどめた。ただ、緊急事態宣言による経済的打撃が間接的にどこまで広がるか、懸念する向きもある。

そんな中、2021年の通常国会が1月18日に開会する。2020年度第3次補正予算と2021年度当初予算の政府案が提出され、審議が行われる。第3次補正予算案は2020年12月15日に、2021年度当初予算案は同21日に閣議決定されたが、いずれも緊急事態宣言を想定していない時期に策定されたものだ。

年30兆円相当の巨額な予備費

緊急事態宣言によって経済的打撃を受けた人や企業に対する財政支援が新たに必要となれば、再発令を想定していない予算案では対応できないから、追加の経済対策を盛り込むべきだという声もある。はたしてそうだろうか。

第3次補正予算案には、雇用調整助成金の特例措置(支給要件の緩和や支給増額)を2021年2月末まで延長するための支出や、中小・小規模事業者等への資金繰り支援の追加支出も盛り込まれている。さらに、第3次補正予算成立後にも依然として5兆円の予備費を計上している。

2020年度末まで2カ月余に5兆円もの予備費というのは、年換算すると約30兆円に相当する。コロナ前までの国の一般会計歳出総額は約100兆円だから、その予備費がいかに大きいかがわかる。

緊急事態宣言の再発令で、追加の財政支援が急に必要となっても、2020年度末までなら十分に対応できる規模だ。予算案を修正しなければならないほど、追加の財政支出が必要とはいえない。

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