菅内閣でついに動き出す「炭素の価格付け」論議 焦点の1つは炭素税、求められる税制グリーン化

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日本でもカーボンプライシングに関する議論が動き出している。写真はアメリカ・テキサス州の火力発電所CO2回収装置(写真:ロイター/アフロ)

わが国でも、カーボンプライシング(炭素の価格付け)の議論が本格的に動き出そうとしている。

梶山弘志経済産業相と小泉進次郎環境相は1月26日、それぞれ記者会見で、カーボンプライシングについての検討を進めることを発表した。

梶山経産相は同省内にカーボンプライシングについての研究会を新設し、2月中旬から議論を始めることを表明した。小泉環境相は、2018年7月に設置した中央環境審議会のカーボンプライシングの活用に関する小委員会での議論を、2月1日から再開させることを表明した。両省は互いにオブザーバーとしてそれぞれの会議体に参加する。

菅内閣で一変した導入論議

カーボンプライシングの議論で焦点となるのは排出量取引と炭素税だ。

わが国でのカーボンプライシングについては、安倍政権で静かに進む「もう1つの増税計画の中で、2019年4月段階での議論の進捗状況に触れた。カーボンプライシングに対する経済界の反対も強く、導入の実現可能性は低かった。

その後、中央環境審議会の同小委員会は2019年8月、「カーボンプライシングの活用の可能性に関する議論の中間的な整理」を取りまとめた。当時は安倍内閣で、消費税率も8%だった。同小委員会の中間的な整理も導入ありきではなく、限りなく賛否両論併記に近いものだった。

ただ、排出量取引と炭素税を日本に本格導入する場合、どのような制度設計が必要かについて反対論に配慮した形で具体的に踏み込んだ検討結果が記された。

この状況は、2020年10月26日に菅義偉首相が所信表明演説を行い、2050年にカーボンニュートラル(脱炭素社会の実現)を目指すことを宣言したことにより、一変した。

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