日本の財政は自転車操業状態に入りつつある。
通常国会で審議中の2021年度当初予算案は、一般会計の歳出総額が106.6兆円にのぼる。税収等で63兆円を賄うが、43.6兆円もの国債を新規に発行し、財源を工面しなければならない。
国債の大量発行は今に始まったことではないが、2021年度の予算案がこれまでと異なるのは、国債発行計画である。
市場を考慮し、事前に国債発行計画
国債発行計画は、借り換える国債と新規発行する国債を合わせて、1年間でどれだけの国債をどのように発行するか、財務省が前もって計画を示すものである。これは国会の議決対象ではないが、国債市場の需給を見計らいながら、金融機関が国債発行を予見できるように策定される。
2020年度当初予算の場合、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の2019年12月20日に国債発行計画が立てられた。
当初予算段階では、借換債と新発債を合わせて153.5兆円の国債発行を予定し、そのうち117.4兆円を事前に満期(借入期間)を決めて市中発行することにした。このうち、最も短い1年満期の国債を21.6兆円(全体の18.4%)発行し、最長の40年債を3兆円(同2.6%)、30年債は8.4兆円(同7.2%)発行する計画だった。
国債市場には、短期で運用したい金融機関もいれば、長期で運用したい金融機関もいる。国債発行計画を立てる財務省は、そうした金融機関のニーズを事前に汲み取る作業をしている。
1年債の構成比は、第2次安倍晋三内閣以降は18%前後で安定的に推移していた。また、30年債と40年債の構成比は10%には満たないが、以前と比べて徐々に上昇し、全体として満期の長さは上昇傾向にあった。
ところが、2021年度当初予算ベースの国債発行計画は様相が一変した。借換債と新発債を合わせて236兆円の国債発行を予定し、前年度当初比で82.5兆円増加。そのうち210兆円を事前に満期を決めて市中発行し、同じく92.6兆円増えた。
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