わが子への「怒り」小手先でなく根本から消す方法 怒りのコントロール以前に必要な3つのこと

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(2)子どもの10年後の姿を決める

この方法は、イメージを使って行う方法です。親がイライラし、怒りを感じてしまう理由の1つに、「焦り」があります。原さんも焦りが原因ではないかと言及されていますが、焦りは、未来をイメージすることから出てきます。

親が悩むとき、未来へ即タイムスリップしていることがありますね。その未来は、暗くて悲観的な状態にいる子どもの姿です。その後、現在に戻ってきます。すると、そのようになってほしくないという焦りから、子どもの現在を変えようとします。しかし、変えようとすればするほど、その暗い未来を意識しているため、暗い未来に引っ張られかねません。

そこで、次のように考えてください。自分の子どもが10年後、楽しく自分らしく生活している姿をイメージし、そうなると“決めて”みてください。そのような未来になってほしいではなく、なると決めているため、今の子どもの状態を少々なことで憂いたり、怒ったりする必要はなくなります。明るい未来を現在に割り引いて対応するからです。

フラストレーションを本格的に解放する

(3)フラストレーションがそうとうたまっているため、それを解放する

原さんは、ご褒美時間を取っていると書かれていますが、ご褒美時間程度では解放されないほど、フラストレーションがたまっているのかもしれません。

怒りの沸点が低い人の特徴の1つとして、自分の活動や趣味、好きなことに時間を割くことが少なく、しなければならないことに支配されていることが少なくないことが考えられます。

したがって「自分が解放される時間をもっと本格的に確保する」ことを考えてもいいかもしれません。

そうは言いつつも、時間的にゆとりがまったく取れない場合もあるでしょう。そのようなときは、上記の(1)か(2)を使ってみてください。

以上、想定できる範囲内で、回答しました。現実的には、怒りの沸点を下げることは、そう簡単ではありませんが、現状のままでは沸点が上がることはあっても、下がることはないと思われるため、3つの案を提示しました。怒ってからではコントロールは難しいと思いますので、平時の段階で、いずれか1つでも試してみてください。新しい行動は、新しい変化を起こすと思います。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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