超難問!「子どもを見守る」を実行するためのコツ 「干渉」「見守る」「放置」はこうも違う

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しかし、放置することもときには必要と考える人もいます。

例えば、子どもが感情的になりまったくコントロールができないとき、事態の悪化を避けるため、一時的手段として「放置」という方法を取る場合です。

それは多くの家庭で行われている日常の一コマかもしれず、実際放置しても、一時的であれば大きな問題にはならないはずです。問題となるのは、放置し続けることです。その場合は教育虐待ともいった状態に発展する可能性もあります。

子どもが変わるための環境を作り「見守る」

以上をまとめると「干渉、見守る、放置」は完全には切り分けられず、相互に関係しあっているともいえます。どれかが間違っている、とまでは言い切れません。

ただし、干渉と放置という手段をとる場合は、「一時的なら」という限定が必要となります。その極端な手段を継続させると、子どもによくない影響を与える可能性があるからです。あくまで、通常モードは「見守る」になります。

笠井さんの場合に必要なのは、「見守る」前提として、「子どもが自主的に行動するための環境を作ること」になります。つまり、子どもの心が変わっていくための環境作りを行う必要があります。

今の子どもの状態で、「もっと厳しく塾に入れて無理矢理やらす」ことが、その環境とは思えません。おそらくそれを実行すると、素晴らしい先生に出会うことでもない限り、勉強嫌いがさらに助長され、二度と勉強の世界には戻ってこなくなる可能性すらあります。

環境作りのためのアプローチはこれまで数多く記事で書いてきましたが、代表的な方法を3つ紹介しておきます。

(1)子どもの自己肯定感を上げる
   参考記事→「自分はバカだ」と言う子に親ができること
(2)子どもの長所をさらに伸ばす
   参考記事→無意味に子どもの短所を指摘する親たちの「罪」
(3)やるべきことを「見える化」させて、ゲーム化する
   参考記事→勉強しない子には「1冊の手帳」を与えよう!

これら以外にもアプローチはたくさんあります。唯一絶対という正解はないため、いくつか試してみてください。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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