高学歴な人だけが成功すると思う人の大きな誤解 「平均」から外れたところで才能は開花する
「名門大学」「優良企業」のエリートではない人々が成功を切り開いた時代・国を挙げるとすれば、産業革命期のイギリスは間違いなくその1つです。当時のイギリスでは石炭が大量に消費されていました。石炭が枯渇するにつれ、イギリス人はさらに多くの石炭を求めて、坑道の奥深くを掘り進めていきましたが、しばしば地下水が漏れ出て作業が妨げられる事態に。そのため、地下水をくみ出すべくピストンを動かす装置が開発されました。このピストンが蒸気機関車の発明へとつながり、綿織物産業にも大幅な変化をもたらします。蒸気機関を応用した機械により、それまでの実に100倍もの衣類用の糸を作ることに成功したのです。
では、世界を揺るがしたこの蒸気機関車を発明したのは誰だったのでしょうか? それは、なんと1人の工場労働者でした。炭鉱の村で生まれたジョージ・スティーブンソンが10年間かけて生み出した作品だったのです。
彼は、科学についてはまったくの素人でした。学校にも通えず、14年間ひたすら炭鉱を掘り続けましたが、のちに世界的な化学者ハンフリー・デービーと学問で熾烈な争いを繰り広げるまでになります。スティーブンソンは、今日の産業革命を率いた「鉄道の父」と呼ばれています。彼が活躍できたのは、当時は「大学の学位や証明書、資格などがまだあまり重要ではなかったから」だと考えられています。
天才などいない
当時の人々は科学を研究室で白衣を着た権威者による学問としてではなく、誰もが気軽に試せる学問として考えていました。道端では独学の知識人たちが自由に学問談義に花を咲かせ、彼らの手によってピストンや蒸気機関が新たに生み出されていったのです。
彼らは思う存分集中し、時間が経つにつれて新たな革新があちこちで生まれ、さらには農夫の手によっても革新が起こりました。ほぼ独学で学問を身につけ、原子説を初めて提唱したジョン・ドルトンも次のような言葉を遺しています。
「天才などいない。もし世界にその価値を認められ、注目されるような業績を誰かが成し遂げたとするなら、それは純粋に実現可能な1つの目標に向かって根気強く努力し続けたからだ」
誰でも偉人になれるというシグナルは、実際にそれを可能にさせます。自分のいちばん大切な1つの目標に向かって根気強く努力を続ければ、その分野で最も偉大な人物になれると信じること。
このことが、何よりも大切なことなのです。
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