2つ目の共通点として、「花子とアン」も『アナと雪の女王』も、男性が”添え物”として描かれていることが挙げられます。
女性2人の人生を主軸として描く上で、男性の存在は欠かせませんが、花子や蓮子の夫の名前は何だったかしらと、思い出せない人もいるのではと思います。これは演じている俳優の力量に関係なく、あえて「存在感が薄くなるよう」描いているからです。
たとえば、「花子とアン」の第20週「海にかかる虹」(8月11〜16日放送)、長男の歩が病気で亡くなってしまうという重要な場面。打ちひしがれた花子を夫と蓮子がそれぞれの形で励ましますが、ドラマでは夫よりも蓮子とのシーンを丁寧に描いていました。
驚いたのが、花子が海辺で夫と抱き合うシーン。そこにもちゃんと蓮子がいるではありませんか!
花子は、何があっても仕事をやめません。視聴者に主婦が多いため、共感されるよう、花子は一応家事をやっていることになっていますが、「ごちそうさん」のように熱心に料理をするようなシーンは出てきません。花子の夫は自宅で地味に印刷の仕事をしているのに対し、花子は外に出て、出版社にいったり、JOAK(現在のNHK)にレギュラー出演したり大忙し。
恋愛に奔放な蓮子は、石炭王や、年下の帝大生といった強烈な男性たちと次々に結婚しますが、ドラマではやっぱり存在感が薄い。蓮子の引き立て役です。
『アナと雪の女王』の男性陣がみなイケていないのは、映画をごらんになった方ならご存じのはず。この映画には、ハンス(他国の王子)とクリストフ(山男の青年)という2人の男性が話を展開するのに登場しますが、見た目も美男子にせず、あえて普通の顔にしてあって、女性2人の引き立て役として登場しているのは明らか。エンディングシーンを見ても、「男の力に頼って生きるなんて、かっこわるいのよ」という、ハリウッドの価値観がよく表れています。
余談になりますが、世界的に大ヒットしている映画『マレフィセント』でも王子は基本、役立たず。“男は添え物、最後に頼れるのは女性”として描いたほうが現代的で痛快。女性に共感をよぶようです。
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