3つ目の共通点として、「花子とアン」『アナと雪の女王』は両方とも児童文学がモチーフとなっています。「花子とアン」は『赤毛のアン』。『アナと雪の女王』は『雪の女王』。このファンタジーの要素が、女性だけではなく、子どもの視聴者を取り込んでいます。
『アナと雪の女王』のエルサは触れたものを何でも凍らせる魔法の力を持っているという設定。国も時代も架空で、完全にファンタジーの世界なのは、ご存じのとおり。この映画では、歌の歌詞と結末だけが妙に現代的。
「花子とアン」の設定は「おしん」と似ていますが、決定的に違うのが、このファンタジー性です。翻訳家になる過程、翻訳家になってからも、劇中に多くの物語が出てきます。
そして何と言っても、このドラマをファンタジーにしているのは、美輪明宏さんのナレーションです。
美輪さんの声を普通の人間が出せないのは明らか。筆者は絶対音感があるのですが、美輪さんの声は、音が何音も重なっているように聞こえるのです。これを倍音というのだそうですが、この霊界から時空を超えて届けられるような語りが、視聴者を一瞬にしてファンタジーの世界に連れて行ってくれるのです。「ごきげんよう、さようなら」の言い回しも毎回絶妙で、花子や蓮子を見守る登場人物がもうひとりいるかのような錯覚に陥ります。
この「ごきげんよう、さようなら」が、感性鋭い子どもたちの間でブームになっているというのも納得です。
ドラマはこの後、太平洋戦争、『赤毛のアン』刊行など、佳境を迎えると思いますが、花子と蓮子がどんな人生の終盤を迎えるのか、今から楽しみです。『アナと雪の女王』のように女性同士の美しい愛で終わるような予感……。
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