NHKの朝の連続テレビ小説「花子とアン」の快進撃がとまりません。週間平均視聴率は、放送開始から20週連続で21%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を超えたそうです。なぜ人気なのかと毎朝見始めてみたら、『アナと雪の女王』と構造が似ていることに気づきました。
NHK朝の連ドラにおける、「王道×変化球」
最初に前提としてお伝えしておきたいのですが、「花子とアン」は「あさイチ」同様、NHKが全力をあげて視聴率を取りにいっている作品です。朝の連続テレビ小説には、視聴率をとりにいく王道作品(例:「梅ちゃん先生」2012年)と、視聴率よりも新しい顧客層を獲得すること重視した冒険的な作品(例:「あまちゃん」2013年、「純と愛」2012年)がありますが、「花子とアン」は王道中の王道。
主演は新人女優ではなく、著名な吉高由里子さんと仲間由紀恵さん。時代も、日本のテレビドラマ史上最高の視聴率を誇る「おしん」(1983年度、平均視聴率52.6%を記録)と同時代の明治、大正、昭和。貧しい出自ながら明治、大正を生き抜き、昭和になってキャリア女性として成功するところも「おしん」と似ています。つまり、「花子とアン」は、
(貧しい出自+戦中・戦後+職業)×有名女優=高視聴率
というヒットの方程式を基本に制作されたドラマです。
筆者は正直、朝ドラのこの方程式には飽き飽きしていて、最近では「あまちゃん」ぐらいしかきちんと視聴していませんでしたが、今回の「花子とアン」は、変化球でした。『アナと雪の女王』に構造が似ているところにTVプロデューサーとして興味を持ちました。
同じ時代に映画とテレビで同じ構造の作品がヒットするというのは偶然だと思いますが、面白い現象です。今回は筆者が気づいた共通点を3つお伝えしようと思います。
「花子とアン」の実質的な主役は2人。ひとりは村岡花子(吉高由里子)、そしてもうひとりが葉山蓮子(仲間由紀恵)。村岡花子は実在する翻訳家で、葉山蓮子は歌人の柳原白蓮をモデルにしています。一方、『アナと雪の女王』は、アナとエルサの2人が主人公。アナ(妹)とエルサ(姉)は、アレンデール王国の王女です。
両作品とも主役2人は姉妹(あるいは姉妹のような)関係です。また、家族の中で王女として、あるいは王女のように育てられた特別な女性であることも共通しています。
こうしたヒロイン2人というのは、ここまで同列でなくとも、よく使われる手法。「あまちゃん」では、天野アキ(能年玲奈)と足立ユイ(橋本愛)。準ヒロインも天野春子(小泉今日子)と鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)という2項対立で描かれました。「花子とアン」のモチーフとなった児童文学『赤毛のアン』のアンにも、ダイアナという友人がいます。
なぜヒロインを2人も置くのでしょうか?
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