1990年頃からの「失われた15年間」は、95年頃を境として前期と後期に区別できることを前回述べた。その転機は、為替介入によって円高の動きがストップし、輸出が増え始めたことだ。
前期と後期の差は、自動車産業においては顕著に表れている。図に示すように、90年代前半にはほぼ一直線で下落を続けていた輸出が、95年頃をボトムにして、回復を始めたのだ。
この結果は自動車生産にも明確に表れた。すなわち、95年頃まで下落を続けていた自動車の国内生産は、回復を始めた。そして、この傾向は、2007年の経済危機の頃まで継続した。
この間に、自動車の国内販売台数はほとんど増えていない。むしろ、90年代後半には減少した。だから、自動車の生産が増加したのは、ひとえに輸出のためである。つまり、自動車産業は、外需依存産業になったわけだ。
自動車輸出が顕著に増加したため、総輸出中の比率も高まった。88年には18・4%を占めていた比率が95年には12%にまで低下していたが、96年以降再び上昇し、07年には17・1%になったのである。特に、02年頃以降のシェア上昇が著しい。
他の輸出品を見ると、95年から07年の間に、一般機械のシェアは24・1%から19・8%へと低下し、電気機械のシェアが25・6%から20・2%へと低下している。
つまり、90年代後半以降、日本の輸出が回復して日本経済が外需依存経済に移行する過程で顕著に増大したのは、自動車の輸出だったのである。額で見ると、95年の約5兆円から、07年の14・3兆円へと、3倍近く増大した。