厳しい「しつけ」で子どものやる気を奪う親の盲点 「しつけ」と「押しつけ」の決定的な違い

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「しつけ」も「押しつけ」も、親の視点から見れば、目的は同じです。どちらも、「(こうするのがいいと思う)あるべき状態にする」ことです。

しかし、目的は同じでも、そこに至るプロセスが異なっていると筆者は考えています。

「子どもが泣きながらでもやらせる」か「やりたくなるようにさせていく」か、これらはどちらも結果は同じですが、プロセスが異なります。どちらの方法を取るかは個人の自由であるため、正解、不正解ということはありませんが、押しつけになってしまっているのではと思われる場合は次のように考えてみてください。

「しつけ」と「押しつけ」の異なるプロセス

・しつけ

子どもは今、どういう気持ちだろうかという視点も持ちながら、理想的な状況に近づけていく(子どもの心の状態を見ている)

・押しつけ

子どもの気持ちはともかく、どうにかしてやらせたい(子どもの心の状態が見えていない)

子どもに宿題をやらせる場合を例にあげて説明してみます。具体例からイメージができるかもしれません。

<宿題をやらせる場合>

【しつけ】

まず「やるべきことをやっていく」ことを日常生活の中で教えていきます。すると、宿題もやるべきことの1つなので、子どもはそれを自分で認識します。そして、やるべきときにやるように“仕組んで”いきます。
しかし、本人任せでは、自主的に動けないこともあります。その場合は、1週間の中で同じ時間帯、同じ場所で行うことを子どもと一緒に決めて、次の4つのステップで進めていきます。

<1>はじめにやり方を教えてあげる。
<2>そして一緒に進める。
<3>部分的に子どもが1人でできるようにやらせる。
<4>その割合を増やして最終的に自分でできるようにする。

 

これで自律段階(放任段階)になります。

お子さんが幼い頃、歯磨きや、お風呂で洗髪するときどうしていましたか。はじめは親が一緒にやってあげていたはずです。しかも、無理やりではなく、歯磨きが嫌いな子でも、なんとか楽しい工夫を入れたりフォローする中で、徐々にできるようになっていったのではないでしょうか。これがしつけのプロセスです。つまり、「導く→自律(放任)」という一連のプロセスを重視しています。

【押しつけ】

単刀直入に「宿題やりなさい!」などの強制的な言葉を投げかける場合、子ども側からすれば、それは単なる「押しつけ」という印象を持つ場合が少なくありません。毎日言われ続ければ、そのうち子どもは慣れてしまい、押しつけという感覚はなくなるかもしれませんが、親はさらにエスカレートして、力業でやらせようとすることもあります。その場合、事態がさらに悪化するため、宿題に対する嫌悪感が、勉強そのものへの嫌悪感へと波及し、心が離れていくこともあります。

次ページそれぞれのプロセスを経た結果
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