で、いったいこれはどうしたことかと我ながら驚き、ふと気づいたわけです。
私にとっては、もう温泉は「たまの旅行でしか楽しめないスペシャルな楽しみ」ではなくなっていたのだ。何しろ日々の生活の中に、同じようなものが当たり前に組み込まれているのである。
そう銭湯です! つまりはですね、いつの間にかリアルに「毎日が温泉旅館」という豪邸生活を、妄想でもなんでもなくちゃんと実現していたのである。
というわけで、以来、温泉旅行に行きたいというモチベーションが大幅に低下して今に至るという話。
人生に必要なものは、実は自分の足元にちゃーんとあるのであります。
理由2:ワンランク上の健康が手に入る
とは言え、もちろん一般的には銭湯は温泉じゃありません。多くの場合、沸かしているのは水道水で、温泉成分など入っていない。わが愛用の銭湯もその一つ。それでもですね、銭湯における健康効果、リラックス効果というのは、温泉に引けを取らないというのが今の私の実感であります。
その秘密は、1にも2にも「大きな湯船」にある。
湯船が大きいということは、気持ちがゆったりするとかリラックスできるという効果もあるけれど、最も肝心なのはそこじゃあないんであります。湯船が大きいということは「湯の量が多い」ということで、それはすなわち「湯が冷めにくい」ということ。だからどーしたと思う方もいるかもしれないが、これは実際入ってみたら、その効果はすぐにわかる。
「ちゃんとあったまる」のだ。
いや家の風呂だってちゃんとあったまると思われるかもしれないが、その差は湯船を出た瞬間に歴然とわかる。銭湯はとにかく、ずーっと体がホッカホカ。冬でも帰り道にコートを着るのがうっとうしいほど延々と汗が噴き出してくる。ノー暖房の寒い家に帰ってもまだ延々と暖かい。誠に省エネである。
それじゃあ夏は逆に困るのではと思われるかもしれないが、これがちっともそんなこたあないんですな。というか、銭湯の醍醐味は本当は夏なんじゃないかというのが昨今の私の実感であります。
といいますのも、夏、熱い銭湯に入って盛大に汗をかくと、体の中の熱がスーッと抜けて、その後、実にさっぱりすっきりと「涼しい」のである。この涼しさは、クーラーなどでは決して得られることのない、体の芯からの、健康的な、えも言われぬ涼しさである。
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