銭湯ほど「パーフェクト」な場所はない
前々回、近所の銭湯にて、わが半世紀を超える人生最大の試練(大げさ)に直面した話を書いたら、案外多くの方に読んでいただいたようで、近所のオシャレカフェのお姉さんからも「銭湯の記事読みました!」などと言われたりして、誠にありがたいことである。
だが一方で、失敗談であったが故に、もしかすると「銭湯怖い……」などという誤解を生んでやしないかと気になって仕方がない。
というのも、あの「事件」以来、銭湯デビューをなんとか成功させるべく地道に頑張り、しかしイザやってみたら拍子抜けするほどすぐに居心地が良くなっちゃって、今や押しも押されもせぬ超ヘビーユーザーとなった身からするとですね、なぜこんなスンバラシイものを今まで知らずに生きてきたのかと後悔しきりなのだ。
これまでだってスンバラシイ所へはそこそこ行ったつもりでいた。遊ぶ場所、泊まる場所、食べる場所、買う場所……豊かな現代には「楽しそうな場所」は数限りなくありますからネ。だがそのどれを取っても、これほどパーフェクトな場所をいまだかつて私は知らない。
何しろ銭湯とは、ただ「楽しい」とか「美味しい」とか「欲しいものがいっぱい!」などという、すなわち一時の娯楽を提供するだけの場所ではないのである。
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