なので、当連載をお読みの皆様には、ぜひとも騙されたと思って、ご近所の銭湯の暖簾をくぐってみていただきたいと切に希望する次第であります。
というわけで今回は、一人でも多くの方の背中を押すために、銭湯に行ったらなぜ人生が変わるのか、なぜ銭湯がそれほどすばらしいのか、その5つの理由をお伝えしようと思う。
理由1:毎日が温泉旅館
会社を辞めて暮らしを小さくするにあたり、そうだ近所の銭湯に通えばガス契約をしなくてすむヨと思いつき、「歩いて3分のところに大浴場があるなんて温泉旅館で暮らしているようなもの」と強がっていたことは、前に書いたとおりである。
で、実際にやってみてどうだったのかという話であります。
いやね、最初は歩いて3分とはいえ、わざわざ靴履いて家を出て坂を登って銭湯まで歩いていくことが「面倒くさい」と思ったことがなかったわけじゃないんですよ正直なところ。だって日々のことだし、夜ってやっぱりダラダラしたいじゃないですか。
なのでいろいろと試行錯誤して、結局、夕食の前にひとっぷろ浴びるのがベストという結論に達して今に至る。ま、これはフリーランスの特権ですな。しかしコロナによるリモートワーク急増の時代、フリーじゃなくたって実現可能なので是非一度お試しいただきたい。ちなみに私の場合は、カフェでの午後の原稿書きを終えて夕方帰宅する途中、銭湯に寄る。考えてみれば、これはまさに温泉旅館方式だ。夕食の前にまずはフロ。
さすればちょうどいい具合にお腹もすいて喉も渇き、食事も酒もうまいのなんの。特に今の季節だと明るいうちに風呂に入ることになるわけで、これがまた、何度経験してもたまらないゼータク気分であります。
で、そんな日々を過ごすようになったある日、遠方への出張ついでに有名な湯治場の旅館に自炊しながら3日ほど滞在したことがあった。もともと風呂好きゆえ、すごく楽しみにしていた旅行だったのです。
で、確かに楽しかった。古い町並みもよかったし、硫黄の匂いのする湯も素晴らしかった。ところがですね、私、驚いたことに、それほど積極的に風呂に入ろうとは思わなかったのだ。
これまでだったら、朝起きてすぐフロ、朝食後に再びフロ、さらに昼に入って夕食前に入って夕食後に入って……と、時間ある限り親の仇のごとく何度も風呂に入りまくるのが温泉旅行デフォルトだった。
それがなぜか、そこまでして入りたいとは全然思わなかったのだ。温泉に対する執着がちっとも湧いてこなかった。なんかね、一度入れば十分、という感じ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら