《プロに聞く!人事労務Q&A》兼業禁止規定を理由に社員を懲戒解雇できますか?

《プロに聞く!人事労務Q&A》兼業禁止規定を理由に社員を懲戒解雇できますか?

 

回答者:雇用システム研究所 白石多賀子

質問

 社員の一人が深夜にコンビニでアルバイトをしていることがわかりました。弊社では兼業を禁止しています。社員の疲労度が高く、業務に支障があることからアルバイトを辞めるように指示しました。しかし、社員は「不況で給料の手取り額が減ったのでアルバイトは必要だ」として指示に従いません。
残業代が減り、手取り収入が減っていることは事実ですが、兼業禁止規定を理由にこの社員を懲戒解雇することは可能ですか?(製造業 総務)

回答

不況の中、固定給のカット、時間短縮、時間外労働の減少で収入が減り、従来の生活水準を維持できないため、副業を行う労働者が増えています。

多くの企業は、就業規則で社員の二重就業を禁ずる兼業禁止の規定を持っています。

法律上では、公務員は兼業が禁止されていますが、民間企業の労働者には、二重就業やアルバイトなどの兼業は禁止されていません。

兼業禁止の基準は、「労働者は、労働契約に基づく誠実な労務提供を行う義務があるため、他社でのアルバイトに伴い、肉体的・精神的疲労により本来の労務提供に影響が生ずる。また、兼業の内容によっては企業秩序を阻害する行為がある」などの可能性により判断されます。

労働者の夜のアルバイトによる裁判例では、建設会社の労働者が夜間にキャバレーのリスト係、会計係として勤務した事案で、「労働者がその自由になる時間を精神的肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは次の労働日における誠実な労務提供のための基礎的条件をなす」、また「兼業の内容によっては企業の経営秩序を害し、または企業の対外的信用、対面が傷つけられる場合もありうる」ので、労働者の兼業について会社の承諾にかからしめる旨の規定を就業規則に定めることは合理性があると認めています。(「小川建設事件」:東京地裁1982年11月19日決定)

 

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