「狭く古い家」にしたら手に入った「驚くべきもの」 住めば住むほどにジーンと幸せを噛み締める

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我が家から望む朝の空は、毎日変わる劇場と思うことにしている。この日はクロワッサンのような雲に思わずニヤつく(写真:筆者提供)
疫病、災害、老後……。これほど便利で豊かな時代なのに、なぜだか未来は不安でいっぱい。そんな中、50歳で早期退職し、コロナ禍で講演収入がほぼゼロとなっても、楽しく我慢なしの「買わない生活」をしているという稲垣えみ子氏。不安の時代の最強のライフスタイルを実践する筆者の徒然日記、連載第15回をお届けします。

初めて一人暮らしを始めたときと同じ広さ

前回、会社を辞めたことにより、それまで住んでいた、シンボルツリーがドーンとそびえ立つ豪華エントランスつきの、ウォークインクローゼットやらシューズインクローゼットやらが当然のように装備されたオール電化のピカピカマンションから、築47年33平米収納ゼロの老朽ワンルームへとトボトボ移った顛末をつづらせていただいた。

稲垣えみ子氏による連載15回目です。

で、改めて考えると、この33平米という広さ。私が就職して初めて一人暮らしを始めた、四国は高松のマンションとほぼ同じ面積である。

つまりはですね、あの場所からスタートした私は私なりに、サラリーマンとして組織の中で何とか生き残ろうと歯を食いしばり、今にして思えば人様に多大なる迷惑もかけシャレにならない不義理も繰り返し、そうまでしても階段を一歩ずつ上がってようやくシンボルツリーのマンションへとたどり着いたわけでありまして、それが一気に「振り出しに戻った」と。

いや……あの28年の努力はいったい何だったのか? もし28年前の自分がこんなことになると知ったなら、どんなに驚愕したことだろう。人生って本当、何が起きるかわかりませんね……などと感慨に浸っていたのは実は一瞬のことである。

本当のびっくりは、さらにその先にあったのだ。

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