今年から「Liga Agresiva」に参加する2人の指導者に話を聞いた。神奈川県、慶應義塾高校の森林貴彦監督は、自校が参加しただけでなく神奈川県でのリーグ設立に尽力した。
「リーグ戦のメリットは、トーナメント戦に起因する勝利至上主義が唯一絶対の価値観ではないことを、指導者、部員、保護者、OBなど野球部に関わるすべての人々が実感できることです。指導者も部員も、同県内の他校が『敵』ではなく『仲間』であると感じられるでしょう。リーグ戦参加に際しては、こうした意義を部内で共有すること、同じ志、意識を持つ仲間とリーグ戦を形成することが必要だと思います。
実施するうえでは日程の確保が課題になります。うちの場合、1年前にはほとんどの練習試合日程が固まっているので、トップチームだけでリーグ戦を戦うのは難しいです。それに、各校指導者がなぜリーグ戦をするのか、という意識を共有する必要があります。実務面では、記録の集計、日程調整など事務局役を誰が負担するのか、ルール、用具の整備という問題もあります。
さらに新たな参加希望校が出てきたときにどうするのか? もちろん広げげていきたいですが、『誰でもどうぞ』にはしたくない。リーグ戦の意義、理念を共有してほしいと思います。そうした課題はあるにせよ、部員たちは積極性、主体性、チャレンジ精神を伸ばすことができると思います。リーグ戦参加を通じて、部員たちの野球への愛情が高まり、スポーツマンシップを身につけ、野球界のみならず社会全般について、現状を受け入れるだけでなく、改革していく志を持つ人間になっていくことを期待しています」
大学野球を意識して木製バットを使用
京都府の立命館宇治高校硬式野球部の西田透部長も期待感を語った。
「リーグ戦は、トーナメントではないので、多くの選手を経験させることができますし、次の試合に向けてプレーの中でどんどん積極的にチャレンジすることも可能です。これは指導者も同様です。このような取り組みが広がっていることを知ることで、高校野球に新たな価値観を感じることができる。その価値に多くの人が賛同し、動いていることを知ることが生徒の中に大きな意味を持つと思います。
木製バットで参加する予定ですが、本校は立命館大学の付属なので数年後に大学野球で使用することになる木製バットを意識して試合ができる経験はとても貴重ですね。木製や低反発金属バットによって、投手がどんどんストライクゾーンで勝負できますし、守備も足を動かしてとらなくてはいけない打球が増えて守備力が向上するとみています。
ただ参加するうえでは、リーグ戦の位置づけをチームとしてどのように持っていくのかをしっかり考える必要があるでしょう。また木製で打つ練習も始めないと、と考えています。選手たちには『将来を見据えて』という本質に触れてもらい、野球というスポーツを楽しんでほしいと思います。そしてリーグ戦を通して『未来への自分』に期待をもってもらいたいですね」
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