高校野球で脱「勝利至上主義」のリーグが広がる訳 甲子園と異なる価値観で運営「Liga Agresiva」

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筆者は今年に入って指導者と阪長氏によるリモートミーティングに数回参加した。既存のリーグでは、運営面でのさまざまな問題がでていた。また実力格差やアクセスの問題などで2リーグ制に移行すべきだという話も出ていた。こうした課題を指導者自身が話し合いをしながら解決していくこともこのリーグの意義だと言える。

このリーグには、9人未満の部員の高校も参加している。リーグ戦には甲子園に出場するような強豪校も参加しているが、彼らに交じって、練習試合をすることもままならない選手たちも、連合チームを組んで参加しているのだ。野球のすそ野を維持し、広げることも有意義なことだと思う。

日本高野連によれば、硬式野球部員は2014年には17万312人だったが、2020年には13万8054人と19%も減少した。コロナ禍の影響もあって、今年も減少するものと思われる。「Liga Agresiva」は、多くの選手に「野球の楽しさ」を実感させ、生涯にわたって「野球好き」にするために、大きな役割を果たす可能性がある。「甲子園」とは異なる価値観の「もう一つの高校野球」の発展に期待したい。

現時点の「Liga Agresiva」参加校、参加予定校 

すでに参加している府県
・大阪府 12校
香里丘高校、みどり清朋高校、旭高校、大阪学芸高校、園芸高校、花園高校、門真なみはや高校、高津高校、早稲田摂陵高校、関西大倉高校、布施高校、立命館宇治高校※
・長野県 10校 〇新規参加校
小諸高校、長野吉田高校、長野工業高校、飯田風越高校、塩尻志學館高校、飯田高校〇、飯山高校〇、佐久長聖高校、諏訪二葉高校〇、都市大塩尻高校〇
・新潟県 8校
新潟明訓高校、新潟第一高校、新潟北高校、北越高校、万代高校、東京学館新潟高校、新潟東高校、加茂農林高校
※立命館宇治高校は京都府だが、今季は大阪府のリーグ戦に参加する。
新規参加を予定する都県
・福岡県 5校
城南高校、明善高校、中村学園三陽高校、福岡中央高校、大川樟風高校
・東京都 7校
佼成学園高校、上野学園高校、都立江戸川高校、実践学園高校、目白研心高校、都立雪谷高校、日本大学明誠高校※
・神奈川県 8校
慶應義塾高校、横浜隼人高校、横浜創学館高校、横浜商科大学高校、平塚学園高校、立花学園高校、相洋高校、向上高校
・千葉県 6校
県立船橋高校、八千代高校、東京学館高校、日本大学習志野高校、船橋古和釜高校、幕張総合高校
・茨城県 3校
伊奈高校、牛久高校、土浦第一高校
・群馬県 5校
渋川青翠高校、渋川工業高校、利根実業高校、群馬高専、松井田高校
※日本大学明誠高校は山梨県だが、今季は東京都のリーグ戦に参加する。
参加調整中の道県
北海道、青森県、徳島県、鳥取県、島根県、沖縄県
(学校は順不同)
広尾 晃 ライター

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ひろお こう / Kou Hiroo

1959年大阪市生まれ。立命館大学卒業。コピーライターやプランナー、ライターとして活動。日米の野球記録を取り上げるブログ「野球の記録で話したい」を執筆している。著書に『野球崩壊 深刻化する「野球離れ」を食い止めろ!』『巨人軍の巨人 馬場正平』(ともにイースト・プレス)、『もし、あの野球選手がこうなっていたら~データで読み解くプロ野球「たられば」ワールド~』(オークラ出版)など。

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