家庭科「2」の私が「一点もの」モード服を作る理由 着るとは何か、おしゃれとは何か、買うとは何か

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(6)Tシャツ

これはいずれもTシャツのリメイク。Tシャツってベーシックな素晴らしい服だとは思うんだが、実は個人的に「似合わない」とずっと思ってきた。サイズのせいだろうか? どうもモッサリする。

(写真:筆者提供)

しかしイベントやらお土産やらで案外もらう機会が多いんですよね。で、結局着ない。タンスの肥やしになったりパジャマになったり。

だがこのリメイクという手段を知ってから、そのようなモヤモヤは消え去った。袖や襟ぐりをカットし、並縫いでギャザーを押せたりリボンを取り付けたりするだけで、モード感満載(自称)の世界に1着のトップスとなる。

……あ、気づけばもう原稿の許容量を超えているではないか。まだまだお宝は尽きないんだが、今回はこのくらいにしといたろと思います。

買わないというおしゃれの世界

しかしまあ、ここまでくると自分でも不思議な感じがしてくる。

着るとは何か。おしゃれとは何か。買うとは何か。

これまでずっと、おしゃれとは「買う」一択であったことが、今となっては本当に信じられない。もちろん買うというおしゃれも立派なおしゃれである。しかし買わないというおしゃれの世界ってものがあり、考えてみればそんなのあたりまえのことで、だって古代人とかはそこらの動物の骨とか鳥の羽とかですんごいアクセサリー作ってたんだよね。

そんなこと全然考えたこともなくて、「手作り」っていうとなんだかしみったれた素朴すぎる世界みたいに決めつけていた自分の頭の固さに改めて驚いてしまう。

本当、やってみたらびっくりしますよ。最初はかなりイマイチなものが出来上がったりするが、案外イマイチなものほどインパクトが強いらしく、それ可愛いですねなどとモノ好きな人に褒められて、そうかなまた作ってみようかななどと手を動かし頭を動かしているうちに次々アイデアが湧いてきたりする。

全然関係ないけど、先日「徳川埋蔵金」の怪しげな儲け話について熱く語る人がいて、ふーんと適当に相槌を打ってたんだが、もう1ミクロンも心を動かされることはなかったね。埋蔵金って、徳川とかじゃなくて、みんな自分の中に本当は持っているんだということを今の私は知っているのである。

稲垣 えみ子 フリーランサー

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いながき えみこ / Emiko Inagaki

1965年生まれ。一橋大を卒業後、朝日新聞社に入社し、大阪社会部、週刊朝日編集部などを経て論説委員、編集委員をつとめる。東日本大震災を機に始めた超節電生活などを綴ったアフロヘアーの写真入りコラムが注目を集め、「報道ステーション」「情熱大陸」などのテレビ番組に出演するが、2016年に50歳で退社。以後は築50年のワンルームマンションで、夫なし・冷蔵庫なし・定職なしの「楽しく閉じていく人生」を追求中。著書に『魂の退社』『人生はどこでもドア』(以上、東洋経済新報社)「もうレシピ本はいらない」(マガジンハウス)など。

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