政治献金「確定申告で取り戻す議員」の呆れる実態 “カネの抜け道"使う準備整えた39人実名公開

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この抜け道を利用し、政治家の中には、資金管理団体や後援会には直接寄付をせず、間に政党支部を挟んで「政治家⇒政党支部⇒資金管理団体など」の流れとするケースが少なくない。政党支部を間に挟むことによって、政治家個人が所得税の還付を受ける条件は整う。

(画像提供:フロントラインプレス)

政党支部への寄付と還付をめぐっては、これまでも問題になったことがある。例えば、2017年に高市早苗総務相(当時)は、自らが代表を務める自由民主党奈良県第二選挙区支部に寄付し、所得税の還付を不当に受けたとして、市民から詐欺容疑で奈良地検に刑事告発された(結果は不起訴)。

自分の政党支部に寄付した国会議員は248人

国会議員による寄付控除の実態を明らかにするため、フロントラインプレスは、すべての国会議員(定数は衆院465、参院245。計710)について、各議員が代表を務める政党支部の「政治資金収支報告書」をひっくり返した。どの政治家が自らの政党支部に寄付しているか、金額はいくらかを確かめるためだ。

政党支部を持っていない国会議員は、共産党(衆院12人・参院13人)や無所属などしかない。つまり、600を優に超える政党支部の関連資料をチェックしなければならない。対象としたのは2015年から2019年までの過去5年間だ。

その結果、自分の政党支部に寄付した国会議員は、衆院で177人、参院で71人、合計248人に上ることがわかった。全体のおよそ3割である。

他方、フロントラインプレスは情報公開請求によって、各都道府県の選挙管理委員会から「寄附金(税額)控除のための書類」という名称の公文書を入手した。これがないと、政治家は政治献金の還付申告を申請できない。政治家側は普通、以下の順番でこの書類を整える。

①都道府県のホームページからダウンロードするなどの方法で書式を入手
②政治家(政党支部)側は当該年に寄付してくれた個人のうち、確定申告において税額控除を希望する人の名前、住所、控除の対象となる寄付金額などを所定欄に記載
③記入を終えたら都道府県選管に提出
④選管は政治資金収支報告書の寄付額などと照合したうえで、記載内容に間違いがなければ、その書類に確認印を押し、政治家(政党支部)側に返却
「寄附金(税額)控除のための書類」には、選挙管理委員会の「確認印」が押される。この印があって初めて、確定申告の際に有効になる。政治家側が自ら請求しない限り、選管はこの書類を発行しない(写真:本間誠也)
情報開示請求で入手した関係書類の一部。47都道府県の選挙管理委員会と総務省に請求した(写真:本間誠也)
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