テレビ報道に危機覚えた記者たちの重い一石 Choose Life Projectは公共メディアを目指す

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2020年2月29日の記者会見の様子をまとめたCLPの動画。3月1日公開(写真:Choose Life Project)
「“今のテレビ”ではできない報道をやりたい」。
テレビのディレクターや記者らが立ち上げたネットメディア「Choose Life Project(CLP)」が、じわじわと浸透している。2016年から選挙や国政に関する動画を制作し、YouTubeやTwitterなどで発信。この夏には“本格始動”を目指してクラウドファンディングを始め、わずかな日数で多額の資金を集めた。彼らはいったい何を目指しているのか。テレビと違う報道とは何か。代表の佐治洋さん(38)に聞いた。

「このままじゃだめだ」

「このままじゃだめだと思ったんです」と、佐治さんは振り返る。2015年9月、国会で安全保障関連法が成立した時のことだ。これにより、自衛隊が海外で他国のために武力行使できるようになった。佐治さんは当時、TBSの関連会社でディレクターとして報道番組の制作に携わっていた。

「あれだけ反対が多かったのに、時間をかけるべき(国会の)議論が数の力で押し切られ、十分な審議がされませんでした。問題意識を持ったディレクターや記者と話し合い、『自分たちにできることをやろう』と。それがCLPです。立ち上げは翌年、2016年でした」

佐治洋(さじ・ひろし)/1982年生まれ。Choose Life Project代表。2007年に東放制作(現TBSスパークル)に入社。TBS社会部記者、『報道特集』などのディレクターを務めた後、2020年3月に退社(撮影:Frontline Press、取材はオンライン)

テレビ局で番組制作などに関わる20~40代のディレクターや記者たちが集まってきた。

「中心メンバーは5人ほどですが、離合集散型です。その都度、取材テーマを話し合って、できる人が取り掛かります。最初の頃は選挙の投票率が問題だと考えていた。特に若い人たちの投票率を上げたい。そのための動画制作を考えました」

国政選挙の投票率は低かった。衆議院議員選挙では、2012年が59.32%。その次の2014年は歴代最低の52.66%。参議院議員選挙でも、1998年~2013年にかけての6回の選挙は、いずれも50%台だ。2人に1人ほどしか投票しない現実が目の前にあった。

次ページ「有権者の半数が政治家を選んでいない」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事