テレビ報道に危機覚えた記者たちの重い一石 Choose Life Projectは公共メディアを目指す

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多数の新興メディアが登場する中で、CLPは何を目指しているのか。着地点はどこにあるのか。

「私がテレビの報道番組を手掛けるようになった2007年頃は、現場の雰囲気が今と全然違いました。私自身は筑紫哲也さんに憧れていたし、現場には少しでもいい報道番組を作ろうという気概を持った人たちが多くいた。番組を自由に作る雰囲気があり、ディレクターも記者もカメラマンも、すごい人たちばかりでした」

ただ、状況は年々悪くなっているという。

「今のテレビは日々のニュースが弱っている」

「自分は制作会社の人間だったので詳しくは分かりませんが、気概を持った人たちが次々と現場から外されていきました。それも“栄転”に見えるような形で。『何か意見すれば、報道局以外に飛ばされる』という感覚が広がり、結果的に、組織内では似たような人がどんどん偉くなった。最近はよく、『政権による外圧で報道が歪んでいる』などと言われますが、むしろ、テレビ局の内側にいる人たちが大事なものを自ら手放しているように思います」

「特に、日々のニュース番組が弱くなっています。その日に起こった事件や事故といった“発生もの”ばかりで、問題を深堀りする特集枠が急に少なくなってきた。週に1度の報道番組もありますが、視聴者の多くは高齢者です。若い人たちはニュース・報道に関心がないので、ネット空間でも何かをやらないとまずい、と。そういう感覚をCLPのメンバーと共有しています」

今でもテレビの影響力は大きい、と佐治さんは言う。もしCLPに放送枠をくれるなら10分でも欲しい、と。

「目指しているのは『公共メディア』です。だから、課金メディアにはしたくない。芸能人、著名人の方々も含め、いろんな人が自由に発言してもらい、番組としてそれを残していくわけです。かつてのテレビの自由さも意識しています。どこに行くか分からない、予定調和ではないコンテンツ。現場取材やルポものも作っていきたい。将来はネット上で放送局を作りたいと構想しています」

取材:笹島康仁=フロントラインプレス(Frontline Press)所属

Frontline Press

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「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年5月に合同会社を設立して正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や研究者ら約40人が参加。スマートニュース社の子会社「スローニュース」による調査報道支援プログラムの第1号に選定(2019年)、東洋経済「オンラインアワード2020」の「ソーシャルインパクト賞」を受賞(2020年)。公式HP https://frontlinepress.jp

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