テレビ報道に危機覚えた記者たちの重い一石 Choose Life Projectは公共メディアを目指す

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

佐治さん自身も驚いたのは、検察庁法改正をめぐる動画の視聴だった。特に、同法の改正に反対する元検事総長らの記者会見動画は、地味な映像にもかかわらず、5月の公開直後から再生数が天を突くように伸び、2カ月余りで58万回に上った。

この問題でCLPは、識者らを集めた討論会や中谷元氏へのインタビューなども発信している。中谷氏のインタビューでは本人が「昔は自民党の中で喧々諤々の議論をしていたが、決定のプロセスが見えにくくなった。権力のあるものはできるだけ権力を使わないように物事をまとめていかないとならない」と発言し、話題となった。

投票呼び掛けから、ニュース・報道へ。その動きが本格化した瞬間である。

元検事総長らの記者会見(写真:Choose Life Project)

佐治さんは言う。

「検察庁法に関する番組はどれも地味な動画です。法律の知識がないと、視聴者には理解が難しいだろうと思っていました。ですが、多くの方々に見てもらい、Twitterでも何百万という声が上がった。視聴者はちゃんと見ているんだ、と改めて思いました」

「一方、今のテレビではこうした報道が難しくなっている。政治や社会の問題を取り上げようとすると、『難しくて伝わらない』『視聴率が下がる』とやめてしまうんです。最近は報道番組でも“数字”を持ち出してワーワー言ってくる(局内の)人が多くなっている。でも、それって、視聴者をバカにした感覚ですよね。作り手は視聴者をもっと信じたほうがいい」

佐治さんは、CLPに専念するため制作会社を退社した7月に「本格始動」のための資金集めにクラウドファンディングを始めたところ、わずか5日間で目標額の倍となる1600万円超が集まった。

今後は、話題のニュースについて専門家らが解説する「Choose TV」、国会で何が起きているのかを見せる「国会ウオッチング」、さまざまな出来事の当事者に聞く「インタビュー」、裁判の結末を伝える「判決ウォッチング」、設立当初から続く「選挙企画」などの枠組みの下で、番組を制作し、視聴者にニュースを届けていくという。「現場での取材もしていきたい」と佐治さんは語る。

次ページ報道現場の状況は年々悪くなっている
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事