政治献金「確定申告で取り戻す議員」の呆れる実態 “カネの抜け道"使う準備整えた39人実名公開

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こうやって調査した結果、自らの政党支部に寄付した国会議員248人のうち、84.3%は自分自身の寄付金控除書類を選管から受理していないことが判明した。選管に書類を出して「確認印」をもらう際、寄付者の中から自分だけをリストから除いた例も多い。つまり、大半の国会議員は良識を働かせたと言えそうだ。

ただし、国会議員と生計を同じにしていると思われる親族が政党支部に多額の寄付を行い、その親族のみが税額控除のための必要書類を受理していたケースもあった。控除対象となった寄付の中には、親族による1000万円を超える寄付も散見された。親族の名を使って、政治家が還付金を手に入れた可能性もある。

政治献金を取り戻す準備を整えた議員39人の実名

焦点となる「選管の確認印が押された書類」を受け取った国会議員は全部で39人だった。衆院33人、参院6人。政党別では、自由民主党が24人、立憲民主党が12人、国民民主党が1人、NHK受信料を支払わない方法を教える党が1人、無所属が1人(当選時は希望の党)。「政治とカネ」と言えば、自民党の関与度合いが大きいイメージがあるが、政治献金の還付申告問題に限ると、与野党で差があるようには見えない。

ただし、39人の議員が実際に還付申告を実行したとは限らない。書類だけをもらい、確定申告の際に使わなかった可能性もあるからだ。そのため、フロントラインプレスは39人を対象にファクスで2つの質問をした。期限を過ぎても回答がない場合は、「回答なし」として記事にします、との断りも添えた。

質問の内容は以下のとおりだ。

①受け取った「寄附金(税額)控除のための書類」で税額控除を申請したか、否かを教えてください。
②税額控除の申請をした場合はそれについてのコメントをください。書類を受け取りながら申請しなかったとするなら、その理由を教えてください。

39人の実名、および、寄付金の合計、実際に控除申請した場合に還付される金額(概算)は以下のとおりだ。東日本と西日本に分けて表にした。なお、表中のピンク色は、フロントラインプレスの質問に無回答だったことを示している。「有権者への説明責任を放棄した者たち」であり、実に21人を数えた。極めて不誠実というほかはない。

(画像提供:フロントラインプレス)
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