政治献金「確定申告で取り戻す議員」の呆れる実態 “カネの抜け道"使う準備整えた39人実名公開

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衆院議員の丸山穂高氏(大阪19区、NHK受信料を支払わない方法を教える党)は、2019年にN党近畿支部へ800万円を寄付した。税額控除のための書類も選管から受け取っている。控除申請した場合は約240万円が還付された計算だ。

丸山氏からはメールで「(還付金を)受け取っている」と回答があった。そのうえで、受け取った理由を次のように記した。

「現行法において合法かつ適当であり全く問題ない。本件は、これまで(租税特別措置法の)法改正について提案しても一向に改正議論が進まず、加えて大多数の与党が動かず一人の無所属議員(ママ)としては法改正手段に限界がある中で、逆に堂々と現行制度を積極的に利用し“税金アジャース”と皮肉的に宣言することで啓発することにしている。今回の件が啓発となって法改正に向かえばよいですね。“税金アジャース”」

現行制度の不備、“抜け道”を是正しようしない国会の現状を逆手に取り、還付金を受け取って“税金アジャース”と快哉(かいさい)を上げる。その姿勢は、丸山氏ならではのもの、とも言える。

「制度の欠陥。こんなこと、許されるものではない」

この問題に関連し、フロントラインプレスは日本維新の会の馬場伸幸幹事長を取材した。同党はこの“抜け道”撤廃を問題視し、2年前から「寄付金控除等を通じた国会議員等の利益享受禁止法案」を国会に提出してきたからだ。ところが、法案は委員会に付託されることもなく、まったく議論されないまま、廃案の憂き目に遭ってきた。

日本維新の会の馬場伸幸幹事長(撮影:板垣聡旨)

馬場氏は言う。

「国会議員が自分のために政党支部に寄付したら、その3割がキックバックされるなんて、そんなこと許しとったらアカンでしょう。

僕らは寄付金控除の禁止法案だけでなく、企業団体献金の禁止や文書交通費の問題など10件以上もの『(国会議員自らの)身を切る改革』関連法案を出しとるんですよ。でも、毎回廃案なんです」

「もう与党と野党の談合やね。付託したら審査して採決まで行かなきゃならんから。国会議員自身の『身を切る改革』へのテンションいうのは、与野党ともに低いわね。自分らさえ良かったら、ええんやろね。『国民のため』と言うとるけど、考えとるのは自分らのことだけ。腹立たしいわね」

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