情報収集の在り方を考える
アンテナ誕生のキッカケは、杉本哲哉氏の2つの着想だった。1つが「グーグル検索の不便さ」だ。
「スマホが普及してきましたが、PCと比べて便利な点もあれば不都合な点もある。文字通り携帯性が高いのがスマホで、いつでもどこでもネットに接続できる。一方でネットサーフィンするにはタブを複数開きにくく、不便だった。情報に出会うにもグーグル検索が主流で、検索結果と自分が欲する情報がマッチしていない。グーグルだけでは情報を探すのに不完全で、より良い情報との出会い方が必要だと感じました」
もう1つが「本屋」だ。「本屋での立ち読みは心地がいい。様々な雑誌の好きな記事を読める。立ち読みはコンピレーションアルバムのようなもの。これはまだネットで実現できていないが、理論上はできる。パッケージ商品である雑誌のコンテンツを記事ごとに分解して流通させる、ということは良くも悪くも、すでにヤフーが創り上げている。しかし、今はメディア側が満足できる形になっていない。ここは大きなニーズがあると思いました」。
そんな問題意識を持っていた2011年11月、ソウル空港でフライトを待っている時にFlipboardを見て、「これこそ大きく発展するサービスだ」と杉本氏は衝撃を受ける。帰国後アンテナ事業を構想し、この構造変化がビジネスに及ぼす影響に思いを巡らせた。
400億円という小粒市場ではない!!
杉本氏は当時、上場会社であったインターネットリサーチ事業を主軸とするマクロミルの会長兼社長。リサーチ事業の感覚値から、ナショナルクライアントがSNSへの出稿に強い興味を持っていることに気づいていた。
「ナショナルクライアントはSNSへの出稿に興味を示していましたが、例えばFacebookでは学歴や在籍企業名は取れても、ユーザーの興味は上手く取得できない。広告主が必要とするのは、何に興味を持っているかというデータです。スマホでは誰が何に興味を持っているかというデータを持った絶対的なメディアはまだ存在せず、チャンスだと思いました」
2014年7月4日、矢野経済研究所から「キュレーションサービスの市場規模」が発表され、2017年に約400億円(事業者売上高ベース)になるという予測があった。これに対し杉本氏は、規模はもっと大きいと指摘する。「400億円は現状の各事業者からのヒアリングを合算しただけの数字。国内の2013年インターネット広告費が約1兆円で、インターネット広告自体もまだまだ伸びる。キュレーションサービスに出稿する広告費の成長余地もかなりあります」。
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