5月18日、中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は2021年1~3月期の決算を発表した。売上高は281億3000万元(約4770億円)で、新型コロナウイルス禍中だった前年同期から25%の増加となった。純利益は前年同期の約625倍の256億5000万元(約4350億円)と急増したが、投資損益などの一時損益を控除した調整後純利益は42億9700万元(約729億円)で、前年同期比39%増だった。
百度の純利益の急増は投資収益の大幅な増加によるもので、21年1~3月期には損益計算書の「その他収益」に合計238億元(約4036億円)を計上した。これは主にショート動画アプリを運営する快手科技(クワイショウ・テクノロジー)からの投資収益である。快手は今年2月に香港で上場し、株価が急騰した。
一方でセグメント別の売上高を見ると、主力の広告事業は20年10~12月期の207億元(約3510億円)から、21年1~3月期は180億9000万元(約3068億円)へと減少し、売上高に占める割合は64%に低下した。
広告を除くその他の事業収入は100億4000万元(約1702億円)に達し、売上高の3割を超えた。このセグメントには、動画配信大手の愛奇芸(iQIYI)、クラウド・サービス、自動運転車の技術開発などの事業が含まれる。そのうち愛奇芸の売上高は80億元(約1356億円)で、前年同期比4%増加した。まだ黒字化には至らないものの、赤字額は13億元(約220億円)と縮小傾向にある。
自動運転では3つのモデルを推進
クラウド事業に関しては、21年1~3月期は売上高を個別に開示していない。百度のCFO(最高財務責任者)の余正釣氏は決算説明会で、「今四半期のクラウド事業の収益は28億元(474億円)で、前年同期比55%増となったものの、20年10~12月期の同67%増には届かなかった」と語った。これはコロナ禍中だった20年1~3月期にクラウド事業が急成長し、前年同期比では見た目の伸び率が低下したためだと、余氏は説明した。
自動運転事業では、「Apollo(アポロ)」と呼ぶ自動運転技術開発のオープン・プラットフォームを通じて3つのビジネスモデルを推進している。1つ目は、自動車メーカー向けの自動運転技術ソリューションの提供で、3~5年以内に100万台に搭載するのが目標だ。
2つ目は自動運転車のシェアリングサービスの実現だ。3年以内に30都市で3000台の自動運転車を配備し、300万人のユーザーへのサービス提供を目指す。そして3つ目は百度自身による自動車生産だ。中堅自動車メーカーの吉利汽車(ジーリー)と共同設立した電気自動車(EV)の製造会社「集度汽車(ジードゥ)」は、2022年4月の北京モーターショーで第1号モデルを発表する計画だ(詳しくは、中国検索大手「百度」がEV参入を前倒しする訳、を参照)。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は5月19日
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