中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)は3月24日、同社独自のAI(人工知能)半導体「崑崙(クンルン)」の開発資金を調達するプロジェクトファイナンス契約を結んだと発表した。同社によれば、資金調達後のプロジェクトの評価額は約130億元(約2168億円)に上るという。
今回のファイナンスのリード投資家は中国中信集団(CITIC)傘下のプライベートエクイティー・ファンドであるCPE源峰(中信産業基金)が務め、投資ファンド大手のIDGキャピタル、君聯資本、元禾璞華がフォロー投資家として参加した。なお、百度は資金調達の具体的な金額については公表していない。
百度は自社のAI技術やアプリケーションの効率を高めるため、2種類のAI半導体を開発している。そのうち2018年に発表した崑崙は汎用のAIプロセッサー、2019年に発表した「鴻鵠(ホンフー)」は言語コミュニケーション処理専用のチップだ。
同社によれば、崑崙の第1世代チップは回線幅14nm(ナノメートル)のプロセス技術で製造され、百度が開発したオープンソースのディープラーニング(深層学習)システム「飛槳(フェイジァン)」に対応。すでに2万個以上が出荷され、同社の検索エンジンやクラウド・コンピューティングに実装されているという。
アリババ、テンセントもAI半導体に注力
現在開発中の崑崙の第2世代は、2021年後半からの量産開始を予定している。今回の資金調達をテコに、百度は崑崙の社内利用だけでなく外販を積極的に推進し、自社のビジネスとの相乗効果を生み出すもくろみだ。
百度は基幹事業のネット検索の広告収入が伸び悩んでおり、クラウド・コンピューティング、自動運転技術、音声アシスタントなどAIが得意とする分野で利益を生み出すビジネスモデルを探求している。同社は3月23日、香港証券取引所への重複上場を通じて約239億香港ドル(約3344億円)を調達したが、その半分をAI関連事業の拡大に投じるとしている。
「BAT」と呼ばれる中国インターネット業界の3大企業(百度、阿里巴巴[アリババ]、騰訊[テンセント])は、いずれもクラウド・サービスの大手であり、AI半導体の開発に余念がない。アリババは2019年に独自開発のAI半導体「含光(ハングアン)」を発表。テンセントはAI半導体のスタートアップ企業である燧原科技に4度にわたり出資している。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は3月24日
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