部下を追い詰める「無意識の余計なひと言」回避術 「わからないことがあったら何でも聞いて」はNG

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NGワード2「とりあえず見てればいいから」

仕事は見て覚えろ、というのは一昔前の考え方です。「まず、見てて」と見せてから、取り組んでもらうスモールステップの最初の段階ならよいですが、そのままにしてしまうことが多いようです。また、自主性を重んじるがゆえに、多くを語らず、手取り足取り指導するよりも全体を把握してほしいという思いから、このように接してしまいがちです。

終身雇用制度が大前提で、少しずつ業務を体得していけばいい時代は、これでも問題はありませんでした。極端なことを言えば、今わからなくても、5年後に習得できればよかったわけです。しかし、人の入れ替わりも激しく即戦力を求められる現場ではそうはいきません。できるように、わかるように指導することが求められます。できるように教えないのは指導怠慢に該当します。業務によっては「言わなくてもわかることだから」という気持ちから発せられることもあると思います。しかし、基本的にやったことのないことは、単純なことであっても、見ただけでは到底わかりません。1~10までつきっきりというわけにもいかないと思いますが、ある程度できるまでをサポートする必要があります。

相手を必要以上に警戒させてしまう言葉

NGワード3「こんなこと言いたくないんだけど」

話し出しにこういわれたらどうでしょうか。言われたほうはガチガチにガードします。仕方がないので伝えるね、という、やんわりとした自己弁護かもしれませんが、見下げているニュアンスや強い威圧を感じさせてしまうフレーズです。言われたほうは、この後の言葉を必要以上にマイナスに受け取る傾向が強く、パワハラを受けたと訴えてくる案件につながりやすいので注意が必要です。

同じような言葉で「あなたのためを思って言うけど」というのもあります。実際には、相手に対する不満やマイナス感情を伴う強い要求があるときに使われることが多く、そのような気持ちがあると無意識に使ってしまうこともあると思います。相手を必要以上に警戒させてしまう言葉でもあるので、「気になっているので伝えるね」と率直に話し始められるとよいかと思います。

ささいな言い回しでやり取りの齟齬(そご)が生じ、残念ながら関係構築を大きく妨げてしまうことがあります。何気なく使っている言葉がネックとなり悪循環になることは避けたいですよね。

「若い子はいいね」や「女性なのにすごいね」などという言葉も、一見褒め言葉のように思えるかもしれませんが。ハラスメントと紙一重です。性別や年齢、容姿について引き合いに出す対応は、極力避けましょう。

必要以上に神経質になることは決してありませんが、配慮のある言い方が信頼関係につながり、安心の場を作り出します。その関係性ができれば、ささいな言い回しで動じることも少なくなります。

ぜひ、プラスのスパイラルを目指してください。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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