50歳手前で「早期退職」に踏み切れた3つの理由 人生後半もうひと仕事できる人の思考・行動法

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それまでにも何度か早期退職の募集があり、いつか応募する日が来るかもしれない、とは思っていましたので、募集があるたびに応募条件には関心がありました。募集が始まってから応募を考えるのでは遅いと思い、心の準備、そして次にする仕事の準備がなければ応募は難しい、とも考えていました。

思いがけず「専門性」を身つけることに

心の準備は別として、次の仕事の準備についてどうすればいいか。これも明確にそう意識して始めたことではなかったのですが、当時、私は広告会社の社員としてある携帯電話メーカーを担当しており、主に商品のマーケティングの仕事をしていました。

その仕事を通じて携帯電話や通信の業界に大変興味を引かれ面白いと感じたので、一般的には広告会社の仕事の範囲を超える内容にも積極的に踏み込んでいました。そうしているうちに、顧客企業から正式にそうした業務の発注打診をいただき、通信業界の専門的内容に踏み込んだ業務を正式にすることになったのです。

その頃はちょうど i モードやEZweb といった携帯電話でのインターネットサービスが急激に普及し、スマートフォンが登場する直前までの間のタイミングでしたので、業界全体の変化を日々感じながら仕事をしていました。いよいよスマホの登場が近くなった頃、人事異動となり、希望が叶って通信会社の担当に。ここでも本業とはやや異なる中期経営計画立案のサポートや、新規市場開拓に関する業務を手がけることになりました。

こうして3年ほどが経過したころ通信会社から出向を打診され、お受けしました。当初は通信業界に関するマーケティングの担当をする予定でしたが、ある事情から新規事業であるスタートアップの投資・育成の仕事をすることに。まったく畑違いのため、出向元・出向先両方と相談し、私の出向については明確に期限を定めず、半年ごとに出向契約を更新する形になりました。結果的に5年半出向し、スタートアップに関する知識や経験を積むことができたのです。

このように、私は会社に入って最初10年は広告・マーケティングの仕事を、その後の約10年で携帯電話や通信の仕事を、そして会社員の最後の5年半程をスタートアップに関連した仕事をすることによって、大きくは3つの専門性を持った知識や経験を得ることになりました。今もこの3つが仕事をする際の柱となる知識やスキル、あるいは人のつながりの基礎になっています。

ある1つの業界に関するスキルを持つ人はその業界の人数だけいますが、異なる知識やスキルの掛け合わせとなればそうした人の数はぐっと減ります。さらに3つ4つと組み合わせていくと、ますます希少性が高まっていきます。

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