就活経験で学生はどれだけ「大人」に成長するか 世の中ナメていた学生も社会のリアルを知る

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就活を通じて企業社会への共感を深める学生もいる。

「就活は苦しく、働くのも嫌だと思っていたけれど、理念など共感できるところが多かったら働くことも楽しみになると思った」(早慶大クラス・文系)

企業で働くと残業を強制されると考えている学生は多く、「残業がない会社はない」(上位私立大・文系)はそんな意見を代表している。たしかに「もっと頑張れ、成果を出せ」「一人前の仕事に残業は当然だ」という昔風の価値観を持つ経営者も存在するが、もはや少数派といっていい。

現在では多くの企業が残業規制をしている。

「働き方についての説明も多く、どの企業も残業はなるべく減らすという方向なのだと知った」(中堅私立大・文系)

そして、よい出会いから「どの会社も社長や社員の熱い思いの下で成り立っており、素晴らしいと思った」(上位私立大・文系)や「社会人はすごいなと。少し社会をなめていたところもあり、謙虚になろうと思った。こうした競争の後、また社内で利益のために働く企業がいかに大変か少し実感できた」(その他国公立大・理系)という前向きの気持ちを得た者もいる。

悪しきパターン化と形骸化

ただし、別の意見もある。「就活生のことをよく考えてくれ、アドバイスをくれたり定期的に連絡をくれたりする企業もあれば、まったく考えてくれない企業もある」(その他国公立大・文系)、「うわべと学歴しか見ていない」(その他国公立大・理系)、「大人でもダメな人がいる」(早慶大クラス・文系)という意見がある背景には、そういう対応の企業があるということを意味している。

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企業の質問も形骸化しているようだ。次に紹介する学生は、技術的な質問を繰り返す大企業に疑念を表明している。大企業の理系採用では大学院生が多いので、その質問をそのまま使っているのだろうと思う。つまり、相手の状況(学部3年生)を考慮せずに選考している。悪しきパターン化、形骸化だと思う。

「大企業ほど学部生に技術的な事を聞いてくる。まだ研究もしていないのに何を期待しているのかがわからない。正直言って、頭がおかしいんじゃないかと思いながら面接をしていた」(中堅私立大・理系)

学生のコメントを読むと、反応には法則がある。丁寧に対応する企業には好感を持って対し、自分自身を振り返る契機にしてポジティブになっている。雑で尊敬できない企業に対しては否定的な感情を抱き、そんな出会いからは何も学んでいない。

学生に尊敬される人事が増えていくことを願いたい。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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