脱炭素達成のカギを握る「寒すぎる家」の大問題

家が暖かくなれば「空き家問題」も解決に向かう

では「2020年基準の半分程度の消費量」とはどれくらいだろうか。実は
一般社団法人「20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会」(通称「HEAT20」)が決めた3つのグレード(G1、G2、G3の3つで、G3が最も厳しい)のうち、真ん中のレベルである「G2レベル」がこれに当たる。

さきほどの表にこのG1~G3のレベルを付け加えると以下のようになる。

出典:各種資料をもとに筆者・「東洋経済オンライン編集部」作成

自動車の脱炭素化も進むが、建築分野でもあと5年以内をメドに、このレベルを義務化して、建物の脱炭素化を加速化する必要がある。

とはいえ、残念ながら国がギアを上げるのはまだこれからだ。また「義務化」は口で言うほど簡単には実現できない。その点、地方自治体のなかには補助金というアメを使い、身近な視点から取り組んでいるところがある。

例えば高齢者などがヒートショックで亡くなるのは建物の断熱性能が低いことが原因の1つだ。高性能の断熱住宅建設へ補助金をつければ、ヒートショック死を減らし、エネルギー消費量も減り、自治体での脱炭素化促進も期待できるという好循環ができるというわけだ。

以下では、具体的でかつより高い断熱性基準を設定して、それをクリアする住宅に補助金を充てる先進的な自治体のケースを2つ紹介していこう。

断熱性能や気密性能を重視する「やまがた健康住宅制度」

まずは山形県の健康住宅認証制度だ。住宅の断熱性能や気密性能が県の定めた基準に適合しているものを「やまがた健康住宅」として認定。80万円を上限に住宅ローンへの利子補給などを行うものだ。これは県産木材多用型住宅建設や耐震建て替え支援なども含む「やまがた安心住まいづくり総合支援制度」の一部として制度化されている。

2018年4月の施行ですでに3期目が終了しようとしているが、筆者の知る限り、このような「健康住宅制度」は日本初だった。前出の「HEAT20」の基準に対応、G1レベルを★1つ、G2レベルを★2つ、G3レベルを★3つとよりわかりやすい形にして、それぞれに見合った補助金を充てる。自動車風に言えば★2つなら、国の「2020年基準」よりも「燃費が2倍いい」住宅ということになる。  

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