「新卒で専門職」採用に急激に傾く企業のホンネ 今までどおりでは20代若手の採用は厳しくなる

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2022年卒で大学3年生のDさん。就職活動をスタートした彼が目指しているのは、総合職としてメーカーに入社すること。営業や人事や経営企画などたくさんの部門を経験してから、自分に適した仕事を見つけたいとのこと。新卒で総合職として入社した特権を最大限に活用して自分の可能性を広げたいのでしょう。

そもそも総合職とは、管理職となることを期待された幹部候補の正社員のこと。仕事は流動的で、いかようにも変わる可能性があります。仮に営業職としての経験が長く、本人が職種転換を希望していなくても、人事異動で違う職種に変わる可能性があります。さらに言えば、若手社員のうちに何職種も経験させて、適職を見いだすローテーションが組まれることもよくあります。

幅広い経験によって視野を広め、一方で会社の意思でいつ何時に異動を言い渡されるかわからないという不安も抱えます。こうして、管理職としての能力や、会社へのロイヤルティー意識を育て、「会社が求める人材」へ長期間かけて育て上げられてきました。

企業は専門性が高い人材を求めるようになったが…

ところが、会社が求める人材というものに、変化が生まれてきました。管理職がすべてではなくなり、専門性が高い人材です。

例えば、エンジニアとしてスキルが高く、プレイヤーとしての知見を背景にプロジェクトがまわせる。あるいは、戦略立案ができ、変化の多い現場でのリーダーシップにたけた人材などです。総合職として管理職になった延長線ではできない仕事をする人材が、組織でたくさん必要な時代になってきたのです。

そのような専門性の極めて高い人材を中途採用してしのぐのも手段の1つですが、転職市場に豊富にいるわけではありません。

例えば今、プロジェクトマネジメントができるエンジニアを中途採用しようと思えば、破格の年俸を提示し、さらに採用コストも必要になります。でも、そんな努力をしたからといって採用できるとも限りません。

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