新卒採用の学生であれば、学歴や発言の印象ということより、問題への答え方であったり、価値観を聞き出すなど過程で、その職種に適しているかどうかといった点での評価が重要になります。総合職であれば会社に対する志望動機が主眼となるところ、専門職であれば特定の仕事に対する志望動機を聞くことになります。
法務や会計、セールスなど専門性に応じた選考となることに伴い、総合職のように一括採用するのではなく、随時、通年採用へと変える会社が増えてきました。こうした、総合職の一括採用から専門職の通年採用への変化は、徐々に広がりをみせています。
おそらく、年を追うごとに職種別の通年採用が増えてくるのは間違いないと思います。
人間関係が良好でも辞める時代に
その背景には、早期離職を防止するためという狙いも見えます。少子化が進み、20代の社員を採用することは難しくなっていく一方です。それゆえに若手社員の早期離職は極力減らしていきたいと考える会社は少なくありません。
ところが、総合職採用による配属がミスマッチとなり、早々に会社を辞める若い社員があとを絶ちません。調査によると、退職理由の1位が「自身の希望と業務内容のミスマッチ」(37.9%)ともなっています。
若手社員の離職は10年以上前から問題視されていましたが、理由の1位はかつては希望業務とのミスマッチではありませんでした。多くの場合、1位は上司や同僚との人間関係でした。逆に言えば、人間関係が良好ならばミスマッチと感じても退職に至らなかった人がたくさんいたのでしょう。
ところが人間関係が良好でも辞める時代になったのです。この変化の要因と考えられるのが価値観の変化です。
現在の20代前半はミレニアル世代とかジェネレーションZ(Z世代)と呼ばれますが、仕事と私生活の双方で充実を求めつつ、将来に対する不安を抱く傾向があります。日本経済が下降を始めてから現在に至る動きを眺めてきたことも大きな要因なのでしょう。
そのため将来につながる働き方、キャリアを重視。自分の将来につながりを感じない仕事に配属されるとミスマッチと感じて、退職、転職を決意してしまう。このような価値観に若手社員の多くが変わって、退職理由の1位に躍り出たのでしょう。
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